下北沢の「劇」小劇場で鳥獣戯画『テンペスト』を見てきた。知念正文による翻案・演出である。けっこう内容が変更されており、島の妖精以外に女神が出てきて筋にかかわったりする。プロスペロー(石丸有里子)は原作よりもはるかに復讐心に燃えていて、自分を苦しめた連中に暴力をもって報復するつもりなのだが、女神の介入で諦めるという展開になっている。正直なところこれは私はまったくピンとこなかった…というか、神の介入で人間が改心するという超自然的な解決法よりも、原作の復讐を完全にやるか、赦すかについてずーっと悩んでおり、最後は主体的に赦しを選ぶことで癒しを求めるプロスペローのほうが面白いキャラクターだと思う。『そよ風と魔女とマクベスと』もそうなのだが、なんというか翻案で半端に付け加えられたところはちょっとピンとこないことも多いな…と思った。シェイクスピアをいじるならもっと劇的にいじって変えたほうがいいんじゃないだろうか…
妖精たちがかなりアクロバット的な動きをするところは良かった。なお、地中海設定で全然インドっぽいところはないのだが、最後に『RRR』の「ナートゥ・ナートゥ」が「誰でも知ってるめでたいダンスソング」みたいに使われていた。婚礼の場面で盆踊りみたいなノリで使われており、この曲はこういうふうに受容されるのか…とちょっと興味深かった。