ジェームズ・ネイピア・ロバートソン監督『JOIKA 美と狂気のバレリーナ』を試写で見た。実在するアメリカのバレリーナ、ジョイ・ウーマックの人生を題材にした作品である。
アメリカ人でありながら15歳でボリショイ・バレエ学校に入学するという快挙を成し遂げたジョイ(タリア・ライダー)はバレリーナになる夢に向かって突き進むが、ボリショイ・バレエ学校は伏魔殿のようなところだった。極めて厳しいバレエ教師タチアナ・ヴォルコヴァ(ダイアン・クルーガー)の薫陶を受けるが、ロシア人でないためなかなかボリショイでは認められない。困ったジョイはクラスメイトと結婚してロシア国籍を取得しようとするが…
実話ベースだそうだが、全く新しいところはないドロドロのバレエメロドラマである。私が大嫌いな『ブラック・スワン』に若干『セッション』が入ったみたいな感じで、バレリーナ同士の足の引っ張り合いが描かれる。ボリショイ・バレエ団がいかに腐敗していて差別的か…みたいなことも描かれているのだが、それならそこを真面目に告発するみたいな映画にすればいいのに、全体的にバレエをことさらセンセーショナルに描くみたいな感じになっているだけで、鋭くバレエ団の問題点に切り込むみたいなことはしていない。展開も実話ベースであるわりにはいろいろすっ飛ばし気味で強引に見えるところがけっこうあり、途中の結婚してロシア国籍を取得しようとするくだりなども「いや、それでそうなるか?」みたいな感じがある(どの程度実際に起こったことなんだろうか…)。正直なところ、こういうバレリーナエクスプロイテーション映画みたいなものは、バレエの権威性を批判するみたいな建前の後ろで美しい女性が集まっている集団を下世話な興味満々で描く…みたいなものになりやすいように思うので、全く私の好みではない。