ウェストエンドで開幕したばかりのミュージカル版『クルーレス』を見てきた。
言わずと知れた有名映画(オースティン『エマ』の翻案)の舞台版である。話はだいぶ映画に忠実で、台本には映画の脚本家であるエイミー・ヘッカリングがちゃんとかかわっている。映画はファッションも見どころだったのだが、かなりちゃんと再現しており、シェール(エマ・フリン)の豪華なクローゼットが舞台に現れるだけでけっこう楽しい。車が出てくるところなんかも舞台らしい工夫をしており、映像ではロケで比較的簡単にできそうだが舞台では一工夫いるようなところをちゃんと面白おかしく見せることを丁寧にやっている。お話のほうは何しろ原作がオースティンで、どの時代の人間社会にもありそうな人間関係の問題を扱っているのでそんなにいじらなくてもミュージカルとして現代に通用するのが強みかな…と思う(まあ、いかにも1990年代というところもあるのだが)。
音楽はなんとKTタンストールが担当している。この音楽のチョイスがかなり効いている…というか、意外と言えば意外ではあるのだが、ポップでユーモアのセンスもあるタンストールの音楽が話にたいへんよくマッチしており、楽しいところは楽しく、ちょっとしんみりしたりロマンティックになるところはちゃんとそういう雰囲気を出していて、かなり聴き応えがある。明るく楽しいロマコメなのだが、必要以上に騒々しくないというか、抑えるところではちゃんと抑えているのがいいと思う。キャスト陣の歌もいいし、ダンスもたまにアクロバティックな動きなどを盛り込んで楽しく仕上げている。