パヴィリオン劇場でThree Short Comedies by Seán O’Caseyを見てきた。ドルイドによる上演で、ギャリー・ハインズが演出である。ショーン・オケイシーの短編喜劇(というか笑劇)を3本まとめてやるというものである。わりとセットがリアリスティックで、それぞれの演目の間に入念なセット替えがある。
'A Pound on Demand'は郵便局で酔っぱらいがお金を下ろそうとするが泥酔しすぎていてうまくいかないという話である。そんなにセリフが多いわけではない郵便局員(ヴェネティア・ボウ)がかなり濃いキャラで笑えた。どっちかというとコントみたいな芝居である。
'Bedtime Story'は主人公のジョンジョが若い女性アンジェラを下宿の部屋に連れ込み、周りにバレないよう朝4時にこっそり帰そうとした…ものの、どんどん騒動に発展する様子を描いている。これはカトリックのダブリンの保守的な性道徳を諷刺していると思われるのだが、一方でアンジェラの描き方にちょっとミソジニーを感じる。なお、この話は下宿の一部屋にやたらと他人が入ってきて迷惑が…みたいな内容であることもあり、『狙撃兵の影』とかなり似ている。
'The End of the Beginning'は夫婦が役割を交換したところ、夫が家事に大失敗して家をメチャクチャに…という内容である。ちょっと前のシットコムでもよく見かけたような話だ(『アイ・ラブ・ルーシー』にそっくりの話がある)。夫が全然家事ができないという点で、男性の空元気をからかっているような内容だと言える。
全体的にコメディというよりはファースとかスケッチ(コント)みたいな感じで、ダブリン三部作などに見られる人間を深く掘り下げるようなところや政治的な鋭い分析はなく、日常的なセッティングの中でデフォルメされた登場人物が機能を果たすことで笑いを誘うというような内容である。ちょっとした社会諷刺がいろいろなところにこめられており、そこはオケイシーらしい。