スモックアリー劇場でヴォルタ劇団による『マクベス』を見てきた。リアム・フーリカン演出で、たった90分で十代の子どもや初心者にもわかるようサクっと『マクベス』をやるというものである。
セットは上から枝がぶらさがっており、後ろには布のカーテンが出入り口にかかっている木の壁があるというものである。マクベス(ショーン・ドゥガン)が魔女のところに行く場面では後ろにプロジェクションで幻影が投影されるのだが、壁がまっすぐでなく、映像が歪んでいるのがかえって魔法っぽくて面白かった。衣装はおおむね現代風でボロい感じだし、宴会も現代の飲み会みたいなのだが、マクベス夫人(フィオナ・ブラウン)だけはエリザベス朝風の襟飾りをつけていた。
ちゃんと90分でもわかるようにカットしているのだが、ちょっとカットのやり方が変わっているところもあり、マクダフ夫人と子どもたちが殺される場面がそっくりなくなっている。このため、次の場面でマクダフに家族の死の報が伝えられるところでは周りのお客さんがけっこう本気で驚いていた。魔女のラインナップも風変わりで、全員まったく違う雰囲気で出てきており、ひとりはアコーディオンを演奏しているし、もうひとりはたぶん魔女ではなく魔男だった。マクベス夫妻は途中からどんどんお互いに理解できなくなって心が離れていく感じで、トゥモロー・スピーチもあっさりしており、マクベスがもう妻などこの世のことがらに注意を払えないくらい現実と隔絶されているらしいことが示唆されていた。わりとダークなユーモアもあり、わかりやすい上演だった。