ゲイト劇場でロクサナ・シルバート演出『リア王』を見てきた。リア王役は『ゲーム・オブ・スローンズ』でヴァリス役だったコンリース・ヒルである。
セットは草のような布のようなかたまりがいくつかぶらさがっているという抽象的なもので、場面によって照明の色や位置をちょっといじって雰囲気を変えているが、それ以外に場面転換はない。衣装は時代劇っぽいものである。全体的にわりと王道の演出で奇をてらったところはないのだが、たまにアクセントのように「おっ」と思うような演出がある。ヒルが演じるリア王は最初はえらそうなのにどんどん弱っていく感じで、道化(マイケル・グレン・マーフィ)にかなり優しく気遣われており、序盤はこのふたりの互いに対する思いやりが見どころという感じだ。ケント(フィオナ・ベル)は女性という設定で、男性に変装してカイアスとしてリアに仕えるという設定になっている。
わりと静かめの演出なのだが、たまにビックリするような動きがある。グロスター(スチュアート・グレアム)が眼をくりぬかれるところはいきなり動きが多くなって非常に残虐な感じになり、客席から"Oh my God!"とか"Ohhhh!"みたいな声が漏れていた。ダークなユーモアが多く、通常の上演だとあまり起こらないようなところで笑いが起きていた。最後にエドマンド(ライアン・ハンター)がゴネリル(ジョリー・エイブラハム)とリーガン(イーヴァン・ギャフニー)を両側にして死ぬところではエドマンドが本当にニッコニコで、これまでの苦虫をかみつぶしたみたいな顔はどこへやら、今まで好かれていなかったのに自分を愛してくれる女がふたりもいて本望じゃああ!!みたいに幸せそうな表情をするので非常に可笑しく、お客さんがみんな笑っていた。