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怒ってホワイトハウスをぶっ壊したくなるくらい働いてるのはサムのほうだろうに…『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』(ネタバレあり)

 『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』を見てきた。

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 スティーヴの衣鉢を継いでキャプテン・アメリカとなったサム・ウィルソン(アンソニー・マッキー)は、新大統領となったロス(ハリソン・フォード)の祝賀会に一番弟子で2代目ファルコンとなるホアキン・トレス(ダニー・ラミレス)と、大先輩であるアイザイア・ブラッドリー(カール・ランブリー)を連れて出席する。そこで突然ロス暗殺未遂が発生し、なんとアイザイアが銃撃に加わってしまった。アイザイアが暗殺にかかわるわけがないと思ったサムは捜査を開始するが…

 なんだかいろいろアラがあるのはよくわかるのだが、おそらく意図していないところで妙なリアリティがあり、個人的にはきわめて感動してしまった(というか映画館で人目をはばからず変なところでボロ泣きしてしまった)作品である。CGに安っぽいところがあるし、アクションの編集なんかも『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』に比べるとだいぶシャープな感じが無い。また、これは脚本の問題だと思うのだが、サムが主体的に何か自分でプロジェクトをしようとするところがほとんどなく、キャプテン・アメリカを襲名したプレッシャーに耐えつつ、次から次へと発生する問題に対処するというだけの話になってしまっている。

 …しかしながら、このせっかく出世したのに全然、自分のしたいことができないマイノリティというヒーロー像には、お仕事映画の主人公としてはものすごいリアリティがある。サムは優秀だったために比較的若いうちから急速に出世したが、前任者(この場合スティーヴ)はみんなに尊敬されている英雄創業者的な人であるため、自分がそんな偉人の跡を継いでいいのか…という疑念に苛まれる。さらに黒人男性であるので、自分が少しでも失敗したらマイノリティはこれだからダメなんだと叩かれるからできるだけ何でも完璧にやらないと…という気持ちが常にある。この大変な状況は、コミックのヒーローとしてはあまりにも現実の職場に転がっていそうな感じで、見ていていたたまれない。さらに職場では既得権益を持っている白人のお偉いさんどもが起こしたトラブルの後始末に追われ、やるなと言われても「これは自分がやっとかなきゃどう見てもまずいのでは」みたいに思って調べたところやっぱりヤバかった…みたいなことが次々と起こる。先輩後輩の顔つなぎやトレーニングなんかもしないといけないのだが、自分のせいで先輩のアイザイアや弟子のホアキンが危険な目にあってしまったのではという心配にも押し潰されそうになる。サムはMCUの中では苦労人でケアの専門家でもあり、感情の制御ができる紳士的な性格なのでちょっとやそっとでは怒らないが、本来なら今までさまざまな白人がやらかしてきた失敗の片付けで過労かつ心労にも苛まれ、ホワイトハウスをぶっ壊すレベルで怒っていいのはサムのほうだろうと思う。それなのにロスが怒って赤ハルクになって破壊活動をするのを止めないといけないサムには怒るヒマすらない。職場での板挟みぶりがあまりにも気の毒で見ていて涙が出そうになる。

 しかしながらそんなサムに勇気を与えてくれるのが、信頼できる同業者からのちょっとした励ましである。なんでも今は政治家を目指しているらしいバッキー(セバスチャン・スタン)がちょっとだけ出てきてサムを励ますところは、「ちょっとスピーチライターに手伝ってもらったよ!」とかいう面白いのかどうかわからないジョークが入っているにせよ、サムのようなポンコツ職場で心労満載の人には一番必要なことだろうと思う(話の内容よりも、来てくれて気遣ってもらえたということが大事だ)。さらにホアキンは自分はずっとサムのファルコンに憧れていたのに、失敗してケガしてしまって申し訳ない…みたいなことをサムに言うのだが、こういう自分を慕ってくれる後輩とか弟子の存在は厳しい職場では非常に励ましになるものだろうし、「こいつのためにも自分で道を切り開かねば」みたいなやる気のもとにもなる。

 …そういうわけでえらいリアルに職場のトラブルを描いた映画だと思ったのだが、たぶん作るほうはそういうことを意図して作ったわけではないと思う。とはいえ、たぶんいろいろキャストやスタッフがかかわって作る中でボロっとマイノリティが職場で経験していることの本音が盛り込まれてしまったのかもしれない。最後にサムがアベンジャーズを復活させたいと言うが、権力のある白人男性のせいで出たゴミ掃除みたいなことをひたすらさせられていたサムがやっと自分の主体性を発揮できそうなプロジェクトを見つけたという点で、なんとなく安心できる終わり方になっていると思う。




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