ジェイソン・ライトマン監督『サタデー・ナイト/NYからライブ!』を見た。
1975年10月11日、ニューヨークのスタジオが舞台で、『サタデー・ナイト』(後の『サタデー・ナイト・ライブ』)の初日生放送直前の90分を描いた作品である。若きプロデューサー、ローン・マイケルズ(ガブリエル・ラベル)はなんとか番組を成功させようと頑張っているが、キャストもスタッフも若くて一癖ある連中ばかりで、NBCの上層部からは本当にちゃんとした番組が作れるのか怪しまれている。才能に満ちているがとにかく精神不安定なジョン・ベルーシ(マット・ウッド)は契約書にサインしないわ、クルーが殴り合いを始めるわ、リハーサル中には機材トラブルが続発するわ、全然準備が進まない。
私は『サタデー・ナイト・ライブ』に詳しいわけではないのだが、出てくるキャラの性格などはけっこう正確…と思われるし、生き生きと個性的に描かれている。問題児は主にコメディアンで、直前まで全然言うことを聞かないジョン・ベルーシや、口が悪いジョージ・カーリン(マシュー・リース)など、70年代的な感覚を持った新世代の問題児がトラブルを起こす一方、重鎮であるコメディアンのミルトン・バール(J・K・シモンズ)はいかにも昔の困ったオッサンという雰囲気で、ふらっとスタジオに来てえらそうにしたあげく、男性器を見せびらかす(!)。ミュージシャン連中はマイペースで楽しそうだしちゃんと演奏はするのだが、リラックスのためと称して直前までドラッグをキメてトンでおり、別の意味で迷惑だ。一方でそういうカオスでセクハラ(今の感覚だと問題ありそうなジョークなどもオブラートをかけずにちゃんとやっている)やら品のない冗談やらが飛び交いまくるところで真面目な人は割を食っており、マペットアーティストのジム・ヘンソン(ニコラス・ブラン)はみんながマペットを真面目に受け取らず、軽んじられることに静かに憤慨している(アメリカテレビ史上でも最重要と言える芸術家だろうに、この映画のヘンソンはみんなに振り回されていてたいへん気の毒である)。なお、登場人物の中では、ビリー・プレストン(ジョン・バティステ)はあんまり顔は似ていないのだが雰囲気が私の想像するビリーにかなり近い…というか、見るからに楽しそうで、歩くそばから音楽がこぼれてくるみたいな雰囲気があって良い。
とはいえ、プロットの一番スリリングなところが史実ではないらしく、こういうリアル志向の映画ならそこはそんなに盛らないほうがいいのでは…と思った。お偉いさんのデイヴ・テベット(ウィレム・デフォー)が大変な曲者で、最後まで番組を生放送にするか、別のテープに差し替えるか決定権を握っているという展開になっているのだが、テベットはジョージ・カーリンなどに対して不安を抱いていたもののローンには好意的で、このハラハラは実際にあったこととではないそうだ。いくらなんでもここはちょっと尾ひれをつけすぎている気がした。