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この映画でヘンリーが一番目立つのはあまり…『ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻』(配信)

 カリン・アイヌーズ監督『ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻』を見た。近々日本公開されるそうだが、こちらは最近配信で見られるようになった。

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 ヒロインであるキャサリン・パー(アリシア・ヴィキャンデル)は病に苦しむヘンリー八世(ジュード・ロウ)の妻として夫の留守中は摂政をつとめ、連れ子たちには母親がわりとなり、信仰に関する著作も出版するなど、さまざまな活動をしていた。しかしながらヘンリーはどんどん病気が悪化し、もともと横暴だった性格がさらに悪化する。キャサリンは異端者として逮捕されたアン・アスキュー(エリン・ドハティ)と知り合いであったことを理由に夫に処刑されそうになるが…

 静かめのメロドラマという感じで、衣装から光の使い方まで凝っていてちゃんとした歴史ものではある…のだが、キャサリン・パーの視点でヘンリーの横暴さを批判的に描くという映画であるわりにはヘンリーが一番目立つキャラクターで、やりたいことと映画の作りがあっていない印象を受けた。何しろジュード・ロウ演じるヘンリーが、だんだん年をとって病に蝕まれてしょぼくれ始めてはいるものの、非常にカリスマ的で、そのカリスマによってどんな横暴でひどいことも押し通してしまう…みたいな人物なので、基本的にプロットを推進するのはこの人だし、見ていてとても嫌な気持ちにはなるものの、キャラクターとしては明らかに面白い。一方でキャサリンは物静かで知的な女性で、終盤くらいまではひたすら夫のやることに耐え、ごまかし、支えるだけで、見せ場が少ない。アン・アスキューとのレズビアン的な関係がほのめかされたり、連れ子たちに対して優しく立派な母親ぶりを見せたりするところは多少あるのだが、それ以外はずーっと我慢しているだけの演技なのでやや一本調子に感じられる。それが最後に突然、史実から外れた大展開で急に大きな行動をとるのでそこも唐突だ。こういう映画ならもっとキャサリンがプロットをすすめるような形にしたほうがいいと思うのだが、ヘンリーが映画の推進力になってしまっているという点で、歴史を新しい視点から見直した映画としてはあまり出来がよくない感じになっていると思う。

 




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