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若くて有望な役者が経験を積むためのプロダクションみたいな感じも…『欲望という名の電車』

 スモックアリー劇場でテネシー・ウィリアムズの『欲望という名の電車』を見てきた。カハル・クリアリー演出である。

 椅子やトランクなど最低限の小道具しかないシンプルなセットで、演出もおおむねオーソドックスでリアリズム志向である。役者が全体的にかなり若く、ブランチ(イーヴァン・ギャフニー)は全然、色褪せた年配の美女という感じではない…し、既に主演映画もある若手の超有望株であるシャーディ・マローンが演じているステラもまるでティーンエイジャーみたいな若妻である。そんなに奇抜なことをしているプロダクションでもないので、ただ若くて有望そうな役者を集めてやってみました…みたいなプロダクションに見えなくもない。

 さらにブランチは白人女性、ステラは黒人女性なのだが、ここが全く何も拾われずにひたすらリアリズム的に演出されているので、見ていてけっこう居心地悪い…というか、正直、ほとんど白人ばかりの客席で見ている非白人女性としてはわりと不必要に不穏な印象を抱いた。この作品は南部の白人エリート層の没落を描いているので人種を扱った話であり、リアリズム的にやるなら姉妹は白人で揃えるか、あるいはほぼ全員ブラックキャストにするみたいな仕組みでやったほうがいいし、ランダムにノントラディショナルキャスティングでやるならリアリズム的でないキャンプで芝居がかった演出にしたほうがいいと思うのだが、このプロダクションはそうなっていない。ブランチとステラの人種の違いは全く言及されないのに、近所の人役では非白人の役者が「非白人の近所の人」として出てきている感じなので、どうも全体的にバランスがよくわからないことになっていると思う。その結果、南部の名家出身の白人のブランチの妹が黒人のステラで、白人の夫に虐待されており、その白人の夫が妻の白人の姉をレイプする…ということで、おそらくプロダクションの意図しない形でめちゃくちゃエグい人種差別の話に見えるようになっている気がする。個人的な感覚だが、そもそも黒人女性であるステラが白人のスタンリーに軽んじられているのをほぼ白人の客席で見ているというだけで、けっこう非白人女性の観客としてはキツい感じがした。




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