『6888郵便大隊』を配信で見た。タイラー・ペリー監督作で、ほぼ黒人女性からなるアメリカの郵便専門の隊についての歴史ものである。6888郵便大隊は第二次世界大戦中に唯一ヨーロッパに派遣された黒人女性からなる隊だそうだ。
第二次世界大戦中、アメリカでは前線の兵士と後方の家族の間でやりとりされる手紙の類がまともに配達されず、士気が下がり気味だった。一方、南部の基地で黒人女性の訓練を担当していたチャリティ・アダムズ大尉(ケリー・ワシントン)は、配下の精鋭の女性たちが人種差別のせいでたいした仕事ももらえないことに不満を募らせていた。ところがホワイトハウスの意向により、たまった郵便物の処理のため、アダムズの隊はイギリスに派遣されることになる。派遣先にはとんでもない量の郵便物がたまっていた上、6888郵便大隊は人種差別的・性差別的な上層部から継続的に嫌がらせを受ける。
いつもコメディを作っているタイラー・ペリーにしてはツボを押さえた真面目な歴史ものではある…のだが、基本的に「軍服姿のケリー・ワシントンが熱血鬼教官になって新兵をどやしつけたり励ましたりしたら面白いよね!」という発想で突っ切る映画である。何しろ第二次世界大戦中のアメリカに黒人女性の大隊長がいたというだけで珍しくて面白い話だし、ケリー演じるアダムズ少佐(途中で大尉から少佐に昇進する)はいつも凜々しくて清々しいヒーローである。部下にはいつも落ち着いて仕事に励むよう厳しく接する一方、評価すべきところは評価する。途中であまりにもひどい差別に怒って言い返すところはケリーの演技の見せ所である。あまり軍服などが好きではない私でもこれはカッコいいと思ったので、軍服フェティッシュがある人は悶死するであろうと思う。
一方でお話じたいはけっこうよくある手堅い歴史ものという感じで、どうやってロジスティクスの問題を解決したかとかがそんなに手際良くは描かれていない。わりと行き当たりばったりに隊員たちの思いつきを応用して…みたいに見えるところもあり、いまいちどういうプロセスで郵便が届くようになったのかが綺麗にさっくり整理されていないと思う。このへんはもう少し工夫した描写が欲しかった。最後に6888郵便大隊がみんなに感謝されるところはおそらくフィクション…というか、最後の実際の隊員のインタビューなどで全然表彰などがなかったという話が出てくるので、「こうだったら良かったな」という終わり方なのだろうと思う。