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もうちょっとイヌを尊重すべきだと思う~『ナイトビッチ』(Nightbitch)

  マリエル・ヘラー監督の新作『ナイトビッチ』(Nightbitch)を見てきた。同名の原作小説の映画化である。

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 ヒロインである母親(エイミー・アダムズ、名前は明示されていない)はかつては芸術家だったが、今は仕事を辞めて家で子どもの世話をしている。夫(スクート・マクネイリー)は仕事で留守がちで、ひとりで子どもの世話をし、他のママ友ともあまりうまくやっていけず、孤独でストレスばかりが募る毎日だ。ところがだんだん母親の身体に異変が現れ、背中や歯などが犬っぽくなっていく。

 子育てのストレスや主婦の孤独などをリアルに描きつつ、シュールでダークなユーモアを交えてへんてこりんな話が展開する…という発想は面白い。最初は他のママ友との間に距離感があった母が最後は女性同士で連帯できるようになるというあたりもいい。エイミー・アダムズの演技は見る価値がある。とはいえ、全体的には展開がかなりダメな映画だと思った。

 まず、ヒロインがだんだんイヌになるのだが、このイヌの描き方がだいぶナメている…というか、いかにも人間の視点でテキトーに描いたイヌという感じがする。私の考えでは、イヌは動物として人間とは異なる犬生を生きている別個の存在として尊重されるべきではないかと思う一方、イエイヌは人間と一緒に暮らしているので別に「野生」の存在ではなく、人間界と自然界の中間にいるような存在だと思う。ところがこの作品では、イヌが単純に野生の象徴として出てきていているように見える。一方でヒロインがイヌ化していくにつれ、なぜか周りのイヌがヒロインイヌをすぐ尊敬するようになるのだが、ここが非常に居心地が悪い…というか、何しろ衣服を着た多くのものよりもイヌが優れている件についての著作があるくらいなので、人間がイヌになったらイヌ界ではたいして能力や徳がなくて下っ端ではないかと思うのだが、ヒロインがすぐにイヌ界のボスになるのは人間の願望が反映されすぎている気がする。まあ多分にヒロインの脳内の解釈によるものだから…とは言ってもずいぶんと人間中心的だと思った。ナイトビッチなんだからもっとビッチらしくイヌを尊重すべきだと思う。

 さらに問題だと思ったのは、話のオチが非常に母性尊重的であることだ。なぜか母親は終盤で、子どもを生むのは女しかできないことで素晴らしい、我々は女神だ!とか言い始める。このあたりの展開はまるで女性の人生は母になることに意義があるとでも言わんばかりで、さらに終盤はなぜか母がもうひとり子どもを産むということでいきなり自宅出産するようになる。あれだけ子育てで参っていたのにいきなり二人目を産もうという展開は非常に母性礼賛的だと思うし、さらにアメリカみたいな先進国にしては最低レベルで妊婦や新生児の死亡率が高いところで自宅出産なんて、危険行為の宣伝か、余裕ぶっこいてるミドルクラスの贅沢にしか見えない。




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