ダブリンシティ大学内にあるヘリックス劇場でクリスマスパントマイム『ラプンツェル』を見てきた。クリスマスパントマイムは、ブリテン諸島でクリスマスに上演される家族向けのミュージカルショーみたいなものである。ヴィクトリア朝のミュージックホールやバーレスクの影響を残している演芸で、みんながよく知っているおとぎ話などをベースにした面白おかしいパロディに歌や踊り、時事ネタのジョークなどが盛り込まれている。パントマイム・デイムという男優が女装して演じる役があり、派手なドレスを何度も着替える伝統がある。
ヘリックス劇場の『ラプンツェル』は、もともとのおとぎ話(けっこう怖い)よりもだいぶディズニー準拠で、ラプンツェルとフリンの冒険話になっている。ラプンツェルの母のゴーテルもわりとゴージャスなディズニーヴィランっぽい悪役だ。子どもたちに向けて役者が話しかけて客いじりをするところもたくさんある。最後はみんなで今年の流行に合わせたいろいろなパロディダンスをしたりするのだが、ドナルド・トランプが出てくるところでは子どもたちからもブーされており、アイルランド人は本当にトランプが嫌いだな…と思った。『デッドプール&ウルヴァリン』の「バイ・バイ・バイ」や『バービー』などのパロディもあった。チケットマスター(ヨーロッパで悪名高い寡占チケットサイト)という大変官僚的な魔法使いが出てきて、テイラー・スウィフトのチケットをとろうとするパントマイム・デイムをいじめるくだりはあまりにもあるあるで強く共感してしまった。最後は客席の子どもたちをまじえてみんなでチャペル・ローンの"Hot to Go"を踊っておしまいだった。