Housewife of the Yearを見た。これは1968年から1995年までアイルランドで開催されていた「今年の主婦」コンテストに関するドキュメンタリー映画である。
「今年の主婦」コンテストに出た人たちのインタビューや当時のテレビ放送(このコンテストはテレビで放映されていた)の映像を中心に構成されている。当時のテレビがかなり性差別的なので、かえって可笑しく見えてしまうところもけっこうある。コンテストの司会者が平気で出場者にベタベタ触ったり、今だとありえないような質問をしたりするので、映画館ではかなり失笑が起こっていた。また、今よりはるかにひとりの女性が産む子どもの数が多かったみたいで、10人くらい子どもがいますというような女性もけっこう出場している。
コンテストのほうはけっこう真面目なものである。見た目とか特技みたいなミスコンっぽいポイントも評価軸には入っているらしいのだが、料理の技術とユーモアのセンスがけっこう効いてくるみたいで、出場者はかなり凝った家庭料理をコンテストに出してきている。面白いことを言ってウケるのも大事みたいで、このへんはユーモアを重視するアイルランドらしいところだと思った。そういうわけで勝者はけっこう「おもろい女」タイプの人が多い。
「今年の主婦」を選ぶコンテストなのだが、勝者はいわゆる「完璧な主婦」の理想像とはほど遠い人も多い。夫が病気で働いているとか、コンテストの後で夫が急に出て行ってしまったとか、自身が非嫡出子だとか、わりと苦労していたり複雑な家庭環境だったりする人も多い。それぞれの女性は自分たちがステレオタイプな家庭の天使ではないことは理解しているのだが、一方でコンテストに勝ったことは今でもとても誇りに思っていて、記念品を保管したりしているそうだ。
興味深いところも多い作品だが、ただコンテストじたいの歴史的経緯とかについてはあまり説明がないのはちょっと物足りなかった。どういう経緯で始まったのかとか、終わる時にどういう議論があったのかみたいなことについてはほんのわずかに言及があるだけで、コンテストじたいを社会的な文脈にしっかり位置づけるような説明がかなり少ない。このへんをもっとやったほうがよかったのではという気がする。