リドリー・スコットの『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』を見てきた。
ヌミディアの戦士ハノ(ポール・メスカル)はローマの侵攻で捕虜になり、剣闘士を訓練しているマクリヌス(デンゼル・ワシントン)に買われる。ハノは同じく戦士であった妻アリシャト(ユヴァル・ゴネン)を戦闘で殺した将軍アカシウス(ペドロ・パスカル)に復讐したいと願っている。一方、アカシウスはローマ皇帝ゲタ(ジョゼフ・クィン)とカラカラ(フレッド・ヘッキンジャー)の腐敗に嫌気がさし、前皇帝マルクス・アウレリウスの娘である愛妻ルッシラ(コニー・ニールセン)と組んで反乱を企てる。
24年前の有名作『』の続編である。私はそもそも前作にあまり思い入れがないのでそんなに深く第1作を分析したことがあるとかいうわけではないのだが、それでもけっこう前作に似たところもあると思った。そんなにたくさん新機軸が盛り込まれているわけではないと思うのだが、最初の戦争シーンから次々と繰り出されるコロッセオでの戦いまで、アクションと陰謀満載で飽きさせない映画である。ゲタとカラカラがあまりにもアホでローマが腐敗しきっており、それをマクリヌスが操ろうとする…という展開はまるで現在のアメリカ政治を描いているみたいで、マクリヌス役をつとめるデンゼルの迫力ある演技もあってかなりリアリティがある。冒頭でけっこうカッコよかったアリシャトがあっさり殺されてしまうところといい、暴力描写といい、前作に比べると『ゲーム・オブ・スローンズ』以降の作品だなという感じがする。
ただ、全体的に古代ローマの話にしては中東・北アフリカ系のキャストがあまり目立たないのは気になった(イスラエル系のゴネンは一瞬で死亡してしまう)。とくに『ムーンナイト』に出ていたエジプト系・パレスチナ系のメイ・キャラマウィの役柄が大幅にカットされてしまったのは残念である。このへんはキャスティングで新しいこと、最新の研究に沿ったことをやろうとしつつ実現しきれていないような気がした。