ウェクスフォードオペラ祭のスタジオ公演でPuccini: Man of the Theatreを見た。これはウィリアム・ナイル・モリス作・演出・主演の作品で、1時間くらいでプッチーニの生涯を本人の楽曲を織り込みながら語るという内容である。プッチーニ没後100周年記念で制作されたものである。
こじんまりとした部屋のセットにピアノの伴奏だけで展開する小品オペラである。プッチーニはあまり歌わず、狂言回し的な役割である。プッチーニが自分の人生について語り、要所要所でプッチーニの生涯で重要だった人たちが出てきて、生涯の出来事とリンクするような代表作のアリアを歌う。たとえばプッチーニの恋人で後に妻となるエルヴィーラの夫であり、なかなか別れてくれなかった青物商ジェミニャーニ(フィリップ・カルマノヴィッチ)は憎たらしい人物としてプッチーニにバカにされており、舞台の後ろからやたらとエプロンのポケットに野菜を詰めた姿で登場し、『トスカ』のスカルピアのアリアを歌いながら野菜を配ったりする(私もバナナをもらった)。こういう面白おかしい展開もたくさんあるのだが、終盤はプッチーニの女癖のせいで大変なことがけっこう起き、悲劇的な感じになる。最後は全員で「誰も寝てはならぬ」を歌って綺麗にしめている。オペラ初心者にもわかりやすい作りでけっこう楽しめた。