ルッジェーロ・レオンカヴァッロの『道化師』を見た。エマヌエレ・クアランタ指揮、ステファニア・パニギーニ演出のマチネ公演である。
コメディア・デッラルテの一座で起こる殺人事件のお話である。座長である道化師カニオ(サミュエル・ホワイト)の妻で、芝居ではコロンビーナ役を演じているネッダ(マリア・マシューズ)は村の青年シルヴィオ(デイヴィッド・ケネディ)と不倫をしていた。一座の役者のトニオ(ジョルジ・ロミセリ)はネッダに言い寄るが手ひどくはねつけられる。トニオは腹いせにカニオにネッダが不倫をしているらしいと告げるが、相手が誰だかは判明しない。一座は芝居を始めるが、舞台上でカニオはネッダを刺殺してしまう。
劇中劇の最中に役者にとっての現実と虚構の境界が曖昧になって大惨事が…という話である。ドロドロのメロドラマでそこそこ面白いし、ドラマチックな音楽もいいのだが、個人的には身体障害があるトニオがステレオタイプに嫌な奴として描かれているのはちょっと気になった。あと、全体的に衣装はもっと派手でもいいような気がした…というか、とくにネッダが前半のシルヴィオとの逢い引き場面で、主演女優というよりは裏方みたいな地味な服装をしているのはあんまり役に似合わないような気がした。なお、衣装替えもメイクも急いでやらないといけないのでかなり大変なプロダクションだと思うのだが、カニオはジョーカーメイクみたいなのを施しており、これは最近の流行りなのかな…と思った。カニオ役のホワイトは歌も演技もうまくてけっこう怖く、いわゆるキラークラウンの原型というのはこのへんのオペラとかにあるんだろうなと思った。