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面白おかしい話がとんでもないバッドエンドに~『狙撃兵の影』

 ショーン・オケイシー『狙撃兵の影』をスモックアリー劇場で見てきた。有名な演目だが初めて生で見た。キアン・ギャラハー演出である。

 舞台は1920年のダブリンである。主人公のドナルは貧乏詩人で、ダブリンの貧困層向け集合住宅に住んでいる。近所の人たちからは逃亡中のIRAの狙撃手だと勘違いされているのだが、本人はそのおかげで可愛いミニーに好かれているので勘違いを正さず、そのままにしている。ところが同じ部屋に住んでいる物売りのシェーマスが預かった知人の荷物が爆弾だったことがわかり…

 けっこう終盤までは勘違いやら荷物やらをめぐる面白可笑しいドタバタなのだが、一方で独立戦争時代のダブリンの貧困と政治的な分断がリアルに描かれた作品でもある。シェーマスみたいに暴力と分断にうんざりしている人もいる一方、アイルランドナショナリズムに身を捧げる覚悟があるミニーのような人物もいる。IRAの闘士だというイメージを利用して利益を得ようとするドナルは『西の国のプレイボーイ』のクリスティと似たキャラクターで、実際の暴力を目の前にすると何もできなくなり、取り返しの付かない結果を招いてしまう。また、プロテスタントで聖書を使って妻への虐待を正当化するアルコール依存症のグリグソンがものすごくイヤなキャラクターで、性差別主義者だし単純に近所迷惑だし、オケイシーは今風な言い方をすると「有害な男性性」みたいなものを描くのがうまかったんだな…と思った。一部屋だけを舞台にした小規模な作品だが、外で起こっている銃撃や捜査がうまく取り込まれていて広がりがあり、途中までの笑いと最後の深刻さのメリハリもしっかりしていて良いプロダクションだった。




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