今週は『ユリシーズ』の記念日であるブルームズデイで、週末はジェイムズ・ジョイス関係のイベントが目白押しである。ブルームズデイにあわせて上演されたビューリーズ・カフェ・シアターで『恩寵』(Grace)を見てきた。ここは有名な喫茶店であるビューリーズの2階にあり、ランチの時間帯に短編を上演している劇場である。『恩寵』は『ダブリン市民』の一編で、マイケル・ジェイムズ・フォード演出、テリー・オニールの1人芝居である。
これは階段から落っこちた男のところに友人たちがやってきて、お見舞いにかこつけてカトリック教会の瞑想会みたいなやつに誘おうとする…という話である。終盤はカトリックに関するかなりあやしい議論が続く諷刺的な作品だ。最後は教会での説教で終わるのだが、この説教がまた意味不明なもので、はっきり教会をバカにしている…と思う。これをほとんどひとりで朗読するみたいな形で上演するので、なんだかオチのない前衛的な落語を聞いているみたいで、けっこう斬新かつ難解な体験だった。