『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』を見てきた。
このシリーズは最初の『ミッション・インポッシブル』しか見ていないのだが、とくにこれ以前のものを見ていなくても話は理解できる。主人公のイーサン・ハント(トム・クルーズ)が所属しているIMFは透明性なんかの問題でCIAに統合されてしまってなくなるのだが、イーサンが一人で「シンジケート」という組織を追っているうちに、敵か味方かわからないエージェントのイルサ(レベッカ・ファーガソン)が絡んできたり、元同僚のベンジー(サイモン・ペグ)やらなんやらも巻き込まれたり…という感じである。
英語圏のレビューでは、この映画は最近のブロックバスターらしく、プロットが異常に複雑であると批判されていたのだが、たしかにそのとおりで、ちょっと話はいくぶんとっちらかっているように思った。途中でウィーンの国立歌劇場の舞台裏が出てくるところがあるのだが、話自体が吊り物や照明が薄暗い中にところ狭しとぶらさがっている劇場の裏側みたいな感じで、もう少し単純にしてもいいのではと…アクションが十分面白いのだから少しシンプルな話を基本にしてもいいのではという気がした。
役者は十分良い。おじちゃまになっても魅力全開のトム・クルーズはもちろん、レベッカ・ファーガソン演じるイルサは単なる添え物でも敵役ではなく、見た目はいわゆる「謎の金髪美女」とはかけ離れた知的で地に足の着いた感じの女性なのにアクションとなるともの凄くて、素晴らしいヒロインだ。ただ、イルサ以外にほとんど女性が出てこないため、本作はベクデル・テストはパスしない。最近のアクション映画は複数女性キャラが出てくるものも多いので、ここはちょと残念だった。サイモン・ペグ演じるベンジーは言い方が悪いかもしれないが実にキュートであり、オペラ劇場に行く時素敵な正装なのにタイがちょっと曲がってるあたりは直してあげたい気分にさせられる。ジェレミー・レナーやヴィング・レイムスやアレック・ボールドウィン、またまた超イヤミな英国人のサイモン・マクバーニー、首相役でちょろっと出てくるトム・ホランダーなどもよかったと思う。
しかしながら私が一番気になってしまったのはロンドン名物赤電話ボックスである。この作品では英国政府の「レッドボックス」というものを皆が争って求めているのだが、それに引っかけてるのか何なのか、ロンドン名物赤電話ボックスがやたらと登場する。やたら皆が電話ボックスから電話するし(ソーホーで電話してる場面はウィンドミルあたりかと思ったらやっぱりそうだったみたいだ)、またまた四つも赤電話ボックスが並んでいる場面があったりとか、やたら赤電話ボックスにこだわっている。しかし最近は電話ボックスも減っているし、わざわざこんな撮り方をするとは製作チームはよっぽど赤電話ボックスに惹かれていたのではと思ってしまった。電話ボックスをアナログなものの象徴として使うのは『マトリックス』の頃からあったと思うのだが、どんどん電話ボックスが消滅している時にこんなにこだわった撮り方をするのは、きっとロンドンのレトロっぽさをすごく強調したいんだろうなと思って見ていた。