第二次世界大戦中に国立暗号センターが置かれていたブレッチリー・パークに行ってきた。

…これが国立暗号センター??

一応、暗号っぽい石碑がたってるけど。

実はブレッチリー・パークはロンドンから一時間くらいのところにあり、可愛らしいお屋敷と湖がある郊外の広大な地所なのだが、第二次世界大戦中になんとここにエニグマ暗号の解読などを中心とする秘密チームの基地が置かれていた。現在、そこが保存されて博物館群として公開されており、国立コンピューティング博物館などが入っている他、1940年代の政治外交資料、風俗史料としての家具やおもちゃ、プロパガンダポスターなど、関係のあるあらゆる資料の膨大なコレクションが各種建物に展示されている。あまり日本人には馴染みがないかもしれんが、とにかくスゴい史跡でかつ博物館なのだ。
アラン・チューリングも戦時中にここで大活躍した。

とりあえずはお屋敷に入ってみる。

19世紀末に建てられた新興のカントリーハウスだそうで、サー・ハーバート・サミュエル・レオンという政治家とその一族が住んでいたらしいのだが、新しくて様式がごっちゃであるせいなのかすごく人工的な可愛らしさがある。

しかしここで暗号研究やってたとは全く思えない…






こういうパークの絵柄を刺繍したタペストリーとかがいろんなところに飾ってあるのだが、暗号研究とのミスマッチがすごい。

1900年頃のお屋敷のスタッフ写真。人物が特定できないため、情報を募っているらしい。


ホームシアターもあったそうな。

お屋敷の裏側にまわる。


どうやら第二次世界大戦の頃からあるらしい落書きが!ガイドさんが「ATはアラン・チューリングだといいんだけど、これは希望的観測でほんとは誰だかわからない…」みたいなことを言ってた。

1940年代の郵便局。

ここは1940年代のおもちゃやら家具やらがところ狭しと並べられている博物館になっている。





車やら船模型やらの展示も。


湖を見てひといき。


ところが、屋敷からちょっと離れるとこういう味もそっけもない工場かオフィスかもわからない小屋がいっぱい並んでいる。

チューリングその他が研究していたBombeという暗号解読マシンの復元解説。

暗くてじめじめした小屋でいろいろな学者が働いていたらしい。

暗号解読に尽力したポーランドの学者達を記念する石碑。

これは奥のほうの12番館でやっていたイアン・フレミング展と第二次世界大戦のダブルスパイ展。


第二次世界大戦のダブルスパイの活躍ぶり。

イケメンスパイはJ・エドガー・フーバーに嫌われてたそうな。

映画スターにちなんで「ガルボ」という名前がつけられたダブルスパイ作戦コードネーム。

第二次世界大戦ネタということで、Keep Calm and Carry On(英国ではものすごく有名な第二次世界大戦スローガン)をもじったプレートがいっぱいある。




他の小屋の中にもいろいろな第二次世界大戦ゆかりの物品の展示がある。





これは軍事用伝書鳩についての特設展示。

チャーチル博物館も入っている。

とにかくものすごい勢いでウィンストン・チャーチル関連の品目を集めているらしい。

チャーチルは自分の本棚のどこから本を抜き出したかチェックするため、テディベアを使って本を戻すべき場所をマークしていたとか。


全部チャーチルトランプ。

ブロックBの展示コーナー。Bombeとその関連器具の復元展示が行われている。もとのやつは壊されてほとんど残ってないのだとか。


アラン・チューリングの像。

チューリングの大活躍と悲劇的な死に関する展示。チューリングは戦時中暗号解読でものすごい業績をあげたが、業績がほぼ軍事機密だったため世間にその天才ぶりが知られていなかった。そのせいもあって同性愛でつかまった時の風当たりが強く、結局仕事をクビになり、強制的に治療を受けさせられて若くして亡くなってしまった。英国政府は最近、チューリングが同性愛差別の犠牲者になったことについてお詫びしている。



チューリングのテディベア。どいつもこいつもイギリス男はテディが好きなんだな。

ドイツの暗号、エニグマについての展示。




戦時中の暮らしぶりについての展示。






これ、赤ちゃん用ガスマスクみたいなものらしい。

ここは国立ラジオセンターだそうな。




ニコラ・テスラだ!

無線の実演。見てるだけでなんかおもしろい。

外交無線の展示。英国の外交無線の歴史やら大使館の無線室の再現やら。




国立コンピューティング博物館。まずはコロッサス&タニーギャラリーへ。







コロッサスは世界最古のデジタルコンピュータの復元らしい。
コンピューティング博物館のガイドツアー。

現在も稼働している世界最古のオリジナルデジタルコンピュータ、WITCH。触らせてもらった!コロッサスとかは復元機なのだが、WITCHは復元とかじゃなくオリジナルのまんまで動いてるらしい。


ヴィンテージのコンピュータ群。パンチカードで動いたり、ハードディスクの大きさがとんでもなかったり…

これは現在のBASICとだいたい似たコマンド?で動かせるそうだ。

磁石を組み合わせた手作りのコンピュータ。すごい手間がかかるらしい。


とりあえず基盤も見せてもらえるのだが、素人でも新しくなるほど基盤がどんどん小さくすっきりした形になっていくのがわかる。

これは航空管制用コンピュータらしい。この分野は非常に早く発達したので、これはかなり古いものだが結構見た目も洗練されてる。

コンピュータ一台動かすのにこのでっかいディスクが何枚も必要だったらしい。ちなみにこれ一枚の容量より今のiPhoneとかの容量のほうがデカいそうだ。

すごい並びのキーボード。

家庭用PCとゲーム機の歴史のコーナー。





昔のグラフィックソフト。

A4の紙と同じサイズのスクリーンだった頃のPC。

これは20年くらい前のコンピュータだが、このデカさで今のXボックスと同じくらいの容量らしい。

教育用PCの歴史。

BBCの先駆的な情報教育プロジェクトについて。

ドゥームズデイプロジェクトという80年代の地域調査プロジェクトを全部デジタル化して保存する、ドゥームズデイリローデッドという企画をやっているらしい。これもデータ保存という観点からしてなかなか面白い。




昔のコンピュータの運搬風景。とにかくデカくて思い。

アナログコンピュータ。



こういうわけでとにかくいろんなものが展示されており、かつガイドツアーやトークがすごく充実していて、何も暗号とかコンピュータのことを知らない人でも楽しめる。田舎のお屋敷と暗号のミスマッチもすごく面白いし、まあとにかく歴史と科学を丸一日堪能できる環境である。科学史クラスタとか軍事クラスタはとにかく行くべき!