収録作品:「賽子と虻」「土鍋女房」「よって件のごとし」
「賽子と虻」めっちゃいい。千と千尋のような、神々の跋扈する世界の様子。富次郎のひょうきんさと芯の強さもよく描かれるようになってなお。やはり宮部さんが男の子を描くとき、天下を獲っている。そういえば富次郎も餅太郎も。
「土鍋女房」人と自然と神のつながりと生活。かなりプリミティブな部分の描き方だと思う。異種交配譚と言ってしまえばそうだが、その手前にある清廉な意志であるとか、逆に差別的な感情をどう含み置いていくのかの方に、僕は心を惹かれました。
「よって件のごとし」これはみんな言うでしょう。ゾンビパニックホラー。自分のための記録なのでここに書くのを許してほしい。舞台の設定が上手というか、宮部氏の得意分野のような気がする。ドリームバスターや英雄の書にも見える「もう一つの世界」の冒険。百物語が語られる世界は盤石である必要があるから、こういう大きな話をもってくるのにはこれがうってつけの手法のように思える。
「賽子と虻」を読みながら書いたつぶやき。
- 歳をとっただけの子供たる私のような読者への、もはやカウンセリングです。世界は不公平で、呪いは理不尽で、神は気まぐれで、人は愚かで弱くてたまに強い。
- 語り手と聞き手と読み手を縦横無尽に走る地の文が、練達の技すぎてしびれる。