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ロバート・ゴダード/北田絵里子訳「謀略の都(上下巻)」(講談社)-『1919年三部作』の幕開け。父の不審死の謎を追うマックスに立ちふさがる国際的な謀略の影とは?

 

ロバート・ゴダードの作品を手にするのは、デビュー作「千尋の闇」を読んで以来で、およそ20年ぶりである。今回、『はじめての海外文学vol.3』の推薦本に本書「謀略の都」(推薦者は山本やよいさん)があったので、久しぶりにゴダード作品を読んでみた。

「謀略の都」は、『1919年三部作』の幕開けとなる作品だ。この三部作は以後「灰色の密命」、「宿命の地」と続いていく。

1919年春。英国陸軍航空隊(RFC)の元パイロットであるジェイムズ・マクステッド(通称マックス)は、フランス・パリで父のヘンリーが亡くなったとの連絡を受ける。ヘンリーは、第一次世界大戦終結後のパリ講和会議にイギリス代表団の相談役として参加していた。そのヘンリーが、滞在中のパリで、しかも戦争寡婦であるコリーヌ・ドンブルーのアパートメントで転落死したというのだ。ヘンリーの死は、事故死として処理されようとしていた。マックスの兄アシュリーも事故死として処理されることを望んだ。だが、マックスはヘンリーの死が事故であったとは思えず、ひとりパリに残って調査を開始する。ヘンリーの知人たちを訪ね、彼がパリで何をしようとしていたのかを探るうちに、そこに国際的な諜報活動のキーとなる人物が関連していることがわかる。そして、その秘密を探ることでマックス自身も国際的な謀略の渦中に巻き込まれていくことになる。

三部作の幕開けとなる本書は、1919年1月のパリ講和会議に関わった代表団の思惑とその影でうごめく国際的な諜報戦の中で、自国の利益、個人の利益、思惑を巡る複雑な関係性の中で父親の不審死の謎を解明しようとするマックスの姿を描き出す。マックスが求めるのは、父の死の真相のみだ。しかし、ヘンリーが関わっていた取引の存在が、マックスを否が応でも謀略の渦中に引きずり込んでいく。マックスと彼の相棒であるサム・トゥエンティマンは、時に命を狙われ、時に危険な状況に陥り、時に懐柔の誘惑に晒される。彼らは幾多の困難を乗り越え、多くの人々の協力とサポートを受け、事件の真相に近づいていく。

文庫とはいえ上下巻の長編は、読み始めるまでは「ちょっと長いのでは?」と思っていた。実際に読み始めてみると、次々と展開するストーリーに惹きつけられ、下巻に入ってからは一気に読み進めてしまった。特に、ヘンリーの死の真相が判明し、彼が接触を試みていたフリッツ・レンマー、ロシアからの亡命者で事件の鍵を握るナディア・ブカエフ、アラブ人の少年ル・サンジュといった人物たちがマックスの導線上に交錯し、収斂されていくラストの場面は、三部作の今後を大いに期待させる。

こうなったら『1919年三部作』を最後まで読み通さねばならない。また読みたい本のリストが増えてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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