怪談界隈、そろそろやばいかも と書いたのは一年とちょっと前のことですが、いよいよファンとしての自分も離れるときがきてしまったようです。去年書いたように話芸としての実話怪談はまだ非常に可能性もあるし面白いのですが、イベントとYouTubeを中心とした怪談界隈は、都市伝説とスピリチュアルに接近しすぎてしまい、目も当てられない状況になってきました。
例えば、都市伝説YouTuberと霊感芸人の悪魔合体とでもいうべき二名が大規模イベントを成功させたのですが、そこでは“強い波動”が客の中に失神者を出すという宗教集会かと思われるような出来事が起こっていました。あくまでエンタメと前置きがあるにもかかわらず、後に失神体験を語る観客に“霊的ステージがうんぬん”的な注釈を霊感芸人は与えています。さらに都市伝説YouTuberはその後にドナルド・トランプに面会しており、陰謀論者内で権威を上げることになっています。これはもはや彼らが教祖的なスタイルで利益を受け取ることにしたということに見えます。
テレビで有名になった心霊現象が起こるスタジオも、映画においてお粗末な心霊現象(ダンサーがひとり増える!)を公開しただけなら良かったのですが、それを真正のものであると言い張るばかりに科学者により「トリックである可能性が高い」との批判まで呼んでしまいました。この科学者も分野は超心理学なので厳密にはどころか一切科学的ではない手法での検証をしているため、実は心霊否定派ではないのですが、そんな人物からも否定されるバカバカしい現象を当事者であるスタジオ経営者やオカルトジャーナリストたちは肯定しているわけです。こちらはエンタメという前提すら押し出していないため、スピリチュアルで金儲けがしたいのか、本当に信じ切っているのかまるでわかりません。ただエンタメであれば楽しみを広げることをまるでしていませんし、信じているならどうかしているという困った状況になっています。
さらには業界の始祖の一人であるレジェンドも「水は零度で凍り百度で沸騰する。こんな都合の良い物質があるのは神秘だ」などという典型的科学オンチの陰謀論を言い放ち、これまで打ち出してきたオカルトを知的に検証しているというイメージを台無しにしてしまった上、近年ではディープステイト型陰謀論に乗っかる動画のみをアップするようになっています。その原因もどうやら陰謀論的な人物がYouTubeチャンネル内部で起こした分裂騒ぎによるものだったらしく、本当に救えないことになっています。
陰謀論には流れない雰囲気を出していた大手YouTuberたちも、座談会のメンバーに選挙をハックすることで有名で様々な件で有罪となった人物を登場させる者、見るべき作品として森永卓郎の陰謀論本や映画『サウンド・オブ・フリーダム』を紹介する者、完全な終末論や宇宙人飛来説を仏教経典の内容として紹介するカルト的活動に走ってしまった者など、本当に業界の終わりを象徴するような活動を最近は行っています。
コンプラが厳しくなったことがどうこうより、もはや社会に積極的に害をなす行為を否定できなくなった業界ですので、ファンとしての決別宣言をここでしておきます。エンタメや学問としてのオカルトは残り続けて欲しいし、完全フィクションの怪談は小説表現としても必要なものですので、そちらについてだけはひっそりと見ていくでしょうが、いわゆる怪談業界については、これからは陰謀論者の一形態としてウォッチしていくということになるでしょう。というわけで、残念というより、必然とでもいうべきことになってしまいました。