色身、秋月の如くにして、白衣を着せり。
白衣観音の説明のように聞こえるだろうか?
でも違う。これは「准胝仏母」の容姿の説明だ。
彩色のされた御像や仏画をご覧になったことがあるなら気づかれていると思う。
准胝仏母は「白衣」を着ている。
なぜ白衣を着ているのか?
白と言えば密教では「息災」の色、であるとか「清浄」という意味を付されることが多いのだろうか。
しかし今回は少し違った観点を考察する。
「白衣は在家修行者の象徴である」
という話がある。
ここからは私個人による見解なので学術的でも儀軌の上でも「そう」と断定できるものではないのだが記すことにする。
准胝仏母の真言が「行者を鼓舞するフレーズになっている」ということを以前に詳しく記事に書いたことがある。
准胝仏母の初期の持物は「パートラ(鉢)」であった。古代インド仏教において「鉢」は修行者の象徴だ。
修行者が鉢を持つ御像を前に修行者を鼓舞する真言を唱える。
入我我入。我は仏になり、仏は我になる。我が仏になって、鉢を持つ目の前の我の姿を鼓舞する。
これが最初期の准胝信仰の姿であったに違いない。
准胝仏母は十八臂もの腕を持つに至り、現世利益で万能な尊格になった。しかし准胝仏母の請願を丁寧に読み込むと現世利益よりも修行が成就することに重きが置かれていることに気付く。
長い信仰の中でたしかに准胝仏母は万能なご尊格になった。しかしその根底は「白衣」を着る修行者の姿であり、修行者を助ける存在であることがど真ん中にある。
わかるだろうか?修行者を見守り、最後には修行者が仏になる。だからこそ修行者を見守る母であり、仏を生む母(仏母)なのだ。
では白衣観音はどうか?なぜ白衣を着るのだろうか?
根本的な疑問がある。それは白衣観音は厳密には「観音」であるのはおかしい。それは観音はもともとアヴァローキテーシュヴァラ(Avalokiteśvara, 観音菩薩のサンスクリット名)といい明確な男性名詞であり、多くのお経において、観音菩薩は男性的な尊格として描かれている。
だから白衣観音は本来的には、女性的に表現した中国の影響で成立した日本でも多く見られる巨大物の白衣観音ではなく、前回の記事でも書いた通り蓮華部院、別名観音院にいる白処尊こそが女尊としての本来の姿である。
そしてその蓮華部の母として「部母」という重要な役割を持っているのだ。
ではそこから導き出される答えはなんだろうか?それは初期の観音像の「元の意味」を知ればおのずとわかる。つまり初期の観音像は「仏陀の修行時代の姿」とされるのだ。だからその姿は瓔珞(様々な飾り)をつけた姿で表現された。観音さまはその根底にはやはり「仏陀という修行者の象徴」という側面があるのだ。
だとすればその修行者たちの「母」である白処尊(白衣観音)は、「修行者の母」という意味で准胝仏母と全く役割を同じくする尊格になる。
さらに興味深いことに准胝仏母の曼荼羅の位置に注目すると、准胝仏母は「偏知院」という部屋の北側に座し、その位置はまさに蓮華部院(観音院)の直上に位置する。それはあたかも蓮華部院を見守る「母」のための座にも見える。
私は仙台時代、仙台大観音という白衣観音の膝元にいた。そこでその仙台の地で私は准胝仏母とのご縁が深まっていった。
当院のご本尊の准胝仏母は最初は、金色であった。私はそれを真白に修繕した。それは准胝仏母は「白衣」であることが象徴だからだ。
以前記事で紹介した台湾の准胝仏母像(台湾の准胝仏母の道場『十方禪林(公式サイト)』)が白いことだって偶然なわけがない。あえて白くしてあるのだ。
また話は変わるが、白衣観音は幼児を抱き「慈母観音」と呼ばれる姿がある。この慈母観音は前回の解説に従えば、『正観音→水月観音→白衣観音→慈母観音』と変化した顕教の姿だ。
だとすれば本来的には正観音のはずが、なぜかここでも「母」という属性を獲得してしまっている。本来は別物であったがまるで収斂進化の如く「白衣」をまとうことで「母」になる。
ちなみに私が信仰の初期に安価で購入した観音さまがいる。それがこの御像だ。

ご覧の通り、独特な慈母観音像だ。むろん密教的なお像ではなく極めて美術品的なお像だ。しかし私は当時仙台で仙台大観音の影響もあり「白衣観音」の真言を唱えていたのでこの慈母観音も「白衣観音」として白衣観音の真言をお唱えしていた。
准胝仏母にはそのご眷属に「訶梨帝母(鬼子母神)」がいる。訶梨帝母が子宝の尊であることはご存知の通りだ。だからこそ准胝仏母の子宝祈願には訶梨帝母が動くとされる。
慈母観音の姿は、訶梨帝母に酷似する。だから慈母観音起源を訶梨帝母とする説すらある。
結論として、准胝仏母は修行者の母であり、白衣を着て、さらには観音たちの母であり、子宝に強いご尊格である。これらは全て白衣観音にもいえるのだ。
最後に、自作したご尊格がことごとく「星」に関連があるご尊であったことは何度も話題にした。曰く「尊星王菩薩」「多羅菩薩」「荼枳尼天」。
予感があった。いつか准胝仏母がこれら星を束ねる中心的な尊格であることがわかるのではないか?
そんな関心があったところに星供養とも関連が強い白衣観音の伝授。その白衣観音はあまりに准胝仏母に役割を同じくしていた。
だから前回の記事でも書いたのだ。白衣観音の伝授があるときに「ああ、これはなんと嬉しいご縁なのだ」と。
自分に託された役割は何なのか?それは自然と神仏とのご縁によって深まっていくことはあるのだとつくづく思うエピソードだ。
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荼枳尼天とはお稲荷さまの仏教でも呼び名です。
商売繁盛、学業増進、立身出世など増益につよいご神さまです
病気平癒、健康維持にとてもよく効く祈祷で、お加持をした「お札」を毎日枕の下に入れてその札に「悪いもの」を吸い取ってもらうように機能させます。人によっては患部に当てるよう袋を作ってお守りのようにしている方もいます。不動明王による祈祷を行いますが、当院では延命に強い准胝仏母の力もお借りして祈祷致します。
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