2022年は9月、2023年は8月に新型コロナに感染したことで練習メニューが中断、放棄した結果、走力ががた落ちしていました。2023年の湘南国際マラソンは初マラソンよりも遅かったくらいです。
2024年はせめてサブ4には戻したいと思い、年明けから練習をしっかりこなすよう心がけました。2月の2回のぎっくり腰になり2ヶ月近くまともに走れませんでしたが、気持ちを立て直し5月には11月のおかやまマラソンに向けた練習メニューを開始しました。
目標は自己ベスト更新など高いものではなく「せめてサブ4復帰」というささやなかものです。
結果としては(暑さに特に弱い私にとって)まだ暑い日にも関わらず、最後まで楽しく頑張れて自己3番目の記録を残せただけでなく、自分なりのフルマラソンの「正解」がわかったレースになりました。
レースレポというよりもこのことについて書き残しておきたいと思います。
■練習メニューとその実践
過去に2回おかやまマラソンに参加していますが、いずれも本命レースではありませんでした。2019年は12月1日の湘南国際マラソン(当時の自己ベスト更新)、2022年は12月29日のBeyond(低体温症気味でリタイア)が本命でした。
2022年、2023年と低調だったこともあり、今年はフルマラソンはおかやまマラソンだけを走ることにしていました。おかやまマラソンに出たら従姉弟が応援に来てくれるのが選択の理由です。
THE RUN S.M.A.R.T. PROJECT (designed by Dr.Jack Daniels)で2021年に作ってもらった24週間のフルマラソンの練習メニューを5月末から開始しました。(今はサイトの名前やシステムが変わっているようです。)練習メニューをこのサイトに登録すると、Garminで連携してワークアウト機能を使ってインターバル等も簡単にできます。
おかやまマラソンのために練習メニューをこなすのは初めてです。フルマラソンの練習メニューは目標の大会に向けて期分けがあり、緩めのメニューから強度が上がり、最後はテーパリングで疲労抜きをしてベストな状態に持って行くので、目標大会に設定するのはタイムを出すためには重要です。
2022年にオリエンテーリングを始めてから、フルマラソンの優先順位が下がり、天候、オリエンテーリングの大会や仕事、家庭や犬の関係で練習できない日は諦めることが多かったのですが、今年は練習日を振り替えたりジムを活用したりしてできるだけ練習メニューをこなすよう心がけました。
暑い夏場は心拍数が上がるのでスピード練習やロング走を設定通りにこなすのは困難です。そこで暑い時期は天候がゆるせばジョグは外で、スピード練習、ロング走、そして雷が予想される日(今年は多かった)はジムのトレッドミルをフル活用することで練習メニューの達成率を上げるようにしました。
その結果がこれです。週ごとの走行距離をどこで走ったかでグラフにしました。「予定距離」で透明に上に出ているのは計画に達しなかった距離、下に出ているのは計画以上に走った距離です。

なお「山」はトレランとオリエンテーリング(フォレスト)を含みます。山の登りや地図読みしながらのオリエンテーリングは歩く割合が高いので「走行距離」に含めるのは水増し気味ではあります。
がんばってもこれくらいの達成率なので、去年、一昨年がいかにひどかったか想像できます。
練習メニューをこなすことでどれだけ走力が上がったかが分かれば、練習メニューのモチベーションになります。きつい練習も積極的に頑張れるというものです。
そこでフルマラソン予想タイムを2つの方法でグラフにして励みとすることにしました。1つは練習内容(距離、平均ペース等)から予想する方法(ある論文に計算されていたもの)、もう1つは同じペースで走った時に換算した心拍数(同じ心拍数でどれくらいのペースで走れるかに換算可能)から予想する方法です。
詳しい計算方法を書くと長くなるので、もし知りたいという方がいらっしゃったら別記事として書きます。
予想タイムと走行距離(山を含む)、予想タイムと平均ペース(山を除く)のグラフが以下です。練習メニューを頑張ろうとした年明け、2月のぎっくり腰による中断もグラフからわかります。
暑い時期は心拍数が上がるので心拍数による予想タイムはどうしても下がってしまいますが、それ以外の季節ではおおむね一致します。全く異なる方法で予想した結果が一致するので信頼性が高いとみてもよさそうです。
ちなみに過去の大会記録も特別な要因がない時はおおむね予想タイムに近い結果となっています(暑い季節の大会は気温補正をした結果で比較)。


5月末からフルマラソン向けの練習メニューを開始して、順調にフルマラソン予想タイムが上がっていったのがわかります。
■目標タイムの設定
計算上の予想タイムは3時間40分程度と出ています。私の自己ベストは3時間45分21秒なので、かなり速いタイムが予測されていますが、これを達成できる自信はありません。
あくまでも計算値であること、ロング走をこなせている回数が少ないこと(週末の各種大会や練習会、用事などが多い)、そして11月中旬の岡山は暑いことが予想されることからです。
まず「あくまでも計算値」を解決するために、10キロの大会に出ることにしました。河川敷で開催されている小規模な大会は直前でもエントリーできます。多摩川河川敷の工事の影響があり片道1.25km(往復2.5km)を4往復する大会です。
まずは過去の自己ベスト45分15秒程度を目安にペース設定をし、無欲で淡々と走りました。最後のつらいところを頑張った結果44分40秒の自己ベストが出ました。以前も今回も11月の大会です。これは自信になりました。
次に気温問題です。フルマラソンのタイムを気温補正する式があります。これもある論文に掲載されているものです。(詳しくは別記事になりますが、この種の論文をブログで紹介されている方がいらっしゃってそこで知りました)
当日予想されている気温で気温補正をしたところ、私のタイム付近では10分ほど遅くなることがわかりました。計算上の予想タイムは3時間40分なので、これに10分足して3時間50分を目標タイムとしました。
■レースプラン
・ペース設定
3時間50分はペースにすると5:27/kmです。Garminは距離が実際より長めに出る=ペースが実際より速めに出るため、ペースは5:20~5:25/kmの幅で管理することにしました。スタート直後は気温は低くだんだんと上がっていくので、前半は5:20/km寄りの速めのペースを想定しています。
まただいぶ前にラン友さんから教えていただいてから、心拍数でレースを管理するためのデータも以前から検討していました。私の数少ない成功レースでは22キロまでは心拍数が156bpmを超えないことが最後まで失速しないための条件のようです。22キロを超えても心拍数が上がりすぎるとやはり失速するのでその後の心拍数も重要です。
今回は基本的には設定ペースで走るものの22キロまでは心拍数156bpmを超えないように注意する(超えたらペースを落とす)、22キロ以降は心拍数160bpmを超えないようにするという方針としました。
・暑さ対策
おかやまマラソンでは暑さ対策も重要です。私は暑さに弱く過去にフィニッシュ後に熱中症で救護室に運ばれたり、そこまでいかなくても熱中症気味になったりすることが多かったからです。
給水(ナトリウム含む)を十分にすればいいかといえば、それだけでは足りないことも分かりました。身体を冷やすことも重要なのです。暑かった小布施見にマラソンでは水かぶりを頻繁にすることで、暑さのダメージを大幅に回避することを経験していました。
そこで今回は毎回給水をすることに加えて、紙コップの少ない水ですが3杯とってシャツの前後と頭を濡らすことにしました。
・エネルギー補給
エネルギー補給も意識しました。過去の大会でエネルギー補給を軽視した結果、フィニッシュ後ですが低血糖になり動けなくなったことがあります。
また脳へのエネルギーが足りないと、実際以上に疲労を感じてがんばれない(メンタルが弱くなる)という話を耳にしたので、補給計画をしっかり立てることにしました。
今回はスタート前に300kcal摂取、レース中は6キロ毎に100kcalの補給食を摂ることにしました。(実際はこれに加えて終盤にバナナを一切れエイドでいただきました)
■大会当日
・直前の準備
フルマラソンではいつもスマホを後ろのポケットに入れているのですが、今回は無駄な荷物は持たないことにして荷物と一緒に置いてきました。
また水かぶりでシューズの中が濡れることを想定して足裏にはワセリン(ベビーワセリン)を塗っておきました。
いよいよスタートです。前週の無欲の10キロレースでよい結果(自己ベスト更新)が出たので今回も無欲で決めたとおり走ることにしました。(欲を出したところで、どのみち暑くて自己ベスト更新はできないのです)
・レース前半~中盤
しっかりと練習してきたからか脚は軽く、スタート後の渋滞を抜けた後は予定ペースの幅よりやや速いペースで走りました。スピードを上げすぎないよう気をつけます。
ここで欲を出して速いペースのまま走ると終盤で大きく失速するのは何度も経験しているので、スタート後の渋滞での遅れを取り戻したあたりで、ペースを設定ペースまで落としました。
コップ3杯の水を前と後ろと頭にかぶる、水かぶりの効果は意外なところにでました。ランシャツは次のエイドまでには大分かわくのですが、ランパンがずっとびしょ濡れでひんやりとした状態を保つことができました。これにより脚の付け根の血管から冷却できていたように思います。最後までそしてフィニッシュ後まで暑さを感じることなく走れました。
22キロを超えても心拍数は156bpmを下回っていることが多く順調でした。27キロくらいから156bpmを超えたので160bpmを上回り続けないようチェックしながら走りました。(登り坂で一時的に超えるのは仕方が無い)
・レース終盤
コース中もっとも難関と言われている岡南大橋を超えて、堤防を登っていくコースに入ります。このあたりは30キロを超えたところです。
このあたりから心拍数が160bpmを超えるようになってきたのでペースは見ずに心拍数だけを監視して走ることにしました。河川敷を川上に向けて登るコースなので、心拍数の上昇にはその影響もあったと思います。
疲労を感じてきてエイドでは歩いて水を取ることもありましたが、その後はふたたび心拍数が160bpm近くになるよう失速せずに走りました。
しんどいと感じた時、心拍数が下がりかけた(=ペースが落ちた)時には、頑張って走るのではなくランニングフォームを意識してペースを戻しました。
残り5キロを切ったあたりではトイレ(小)に行きました。我慢できないというほどではありませんでしたが、すっきり気持ちよく走りたかったのです。エイドとトイレで3分ほどかかったようですが、回復して元気に走れたので実質的なロスタイムは3分はなかったと思います。
競技場が目前に近づいたあたりでペースを上げてスパートしようとしたところ、ふくらはぎが痙りかけたので、痙らない程度のペースを維持してゴールまで走りました。
余力があれば競技場でスパートできたのですが、(脚痙りがなかったとしても)そこまでの余力はなかったので、力を残さず走りきることができたようです。
・結果
結果は3時間48分12秒、おおむね予想タイムどおりの(やや速い)結果でした。
自己記録としては3番目です。1番目が2021年12月29日、2番目は2019年12月1日でいずれも今回より気温が低い大会でした。気温補正をすれば今回が自己ベストです。(気温補正はあくまでも自分の走力の把握という目的であって、本当のタイムはやはり記録されたタイムですが。)
暑いおかやまマラソンを無欲で走った結果、目標タイム(3:50)を超えた結果を出せたのは大きな成果でした。
ゴール後
全力を出し切ることが出来たからか、フィニッシュ後にしばらく座った後、荷物預かりまで歩こうとしましたが、それもできず、芝生に転がって少し寝ました。寝たらすっきり元気になりました。座っていた時に少し震えがあったので、暑さの影響が全くなかったわけではなさそうです。
力を出し切ったにも関わらず、大会後は当日も翌日も脚が痛くて歩きにくいということにならなかったのは意外でした。練習の成果でしょうか。あるいは気温が低ければまだ頑張れたということでしょうか。
グラフ
リアルタイムなペースと5キロ毎のペース、そして標高のグラフです。
35キロ以降は5キロ平均でみるとペースが大きく落ちていますが、これはエイドやトイレでの停止を含んでいるからで走っている時のペースの落ち込み(心拍数が上がりすぎないように調整した結果)は小さいことが分かります。

ペースのグラフに心拍数を合わせて表示してみました。
計画通りの推移、そして安定していることが分かります。(大きく失速するレースではペースが落ちるのに合わせて心拍数も落ちます)

過去のよかったレースや同じおかやまマラソンと比べてみます。
今度は心拍数のグラフからです。22キロ前は156bpmに22キロ後は160bpmに線を引いておきました。
自己ベストのBeyond2021とほぼ同じ推移であることがわかります。やはりこれが私にとっての理想的なパターンなのでしょう。湘南国際2019は前半の心拍数もやや高めで、後半はかなり高くなりその後大きく下がっています。下がったところは失速しているのです。

3回のおかやまを比較すると前半の心拍数は今回が一番低く、後半は安定して高めに維持できていることがわかります。

次にペースのグラフです。
これは比較しやすいように1キロ毎の平均のグラフにしました。ベスト3大会とおかやま全てを1つのグラフにしています。
今回はトイレに行った39キロラップは大きく落ちていますが他はBeyondに次ぐ安定です。Beyond2021は最後の5キロは脚痙りでだましだまし走ったのでペースが落ちています。

今後に向けて
今回が18回目のフルマラソンですが、そもそも最後まで歩かずに完走したのが5回しかありません。「計画通り」走れたのはそのうち3回です。
今回はたまたま調子よく走れたのではなく、ここまでに書いてきたように過去の経験を活かし、計画的に練習を積んできて出た結果ということが、タイム以上に大きな成果でした。経験やデータを踏まえて、工夫し計画したいろんなことがピッタリはまった気持ちよさがあります。
フルマラソンだけは、大きく失速しつらい気持ちで歩くことが多いので苦手意識が大きかったのですが、「最後まで失速しない備え方と走り方」をみつけることができ、今後はフルマラソンも楽しく走れそうな期待が持てます。
オリエンテーリングが楽しく、トレランも楽しくなって、つらいだけのフルマラソンはもういいかなと最近は思っていました。練習のモチベーションとして年に1回だけ走ろうと決めていたフルマラソンでした。
それを無欲で走った結果、もういいと思っていたフルマラソンの「正解」がわかったのは楽しい経験でした。