『コート・スティーリング』を観てきました。
『エイリアン』に続く「こんなことにになっちゃったけど、せめて猫だけでも助けよう映画」です。命を賭けて猫を助けてくれる主人公は気持ちよく観ていたられるので大変ありがたい。
プロ野球選手の夢を事故で断たれて以来、何事にも本気になれずに暮らしているハンクは、ある日隣人から猫を預かる。その隣人宅にはなぜかマフィアが頻繁に家捜しに来ており、巻き添えを食って暴行されたハンクは大けがをする。探しているものが何なのかよくわからないままに、身近な人に次々と危害が及んでいく中で、捜し物は麻薬売買にからむ巨額の現金であることが発覚。ハンクはついに逃げるのを諦めて、逆襲に出る。 ……というようなストーリーでした。
”猫とイケメン”の取り合わせには全然捨てるところがありません。非常に面白かったです。
オースティン・バトラーって、出世作になった『エルヴィス』以降の出演作を全部観てますが、「眼差しは強いのに頼りない」っていうところが常に印象的ですね。『バイクライダーズ』でも”顔だけ綺麗なすごい馬鹿”という、今回とほぼ同じ役回りでしたが、その面構えになんと説得力あることか。
予告映像が、かなり巧妙なミスリード編集だったので、てっきり「チャラ男が恋人にハッパをかけられてついに本気を出すアクションスリラー」だと思って観に行ったんです。
そしたら、コメディタッチのアクション映画とは思えないくらいかなりがっつりひどい目にあっているのは衝撃でした。冒頭から挨拶代わりに主人公が腎臓一個なくす映画。ちょっと気の毒すぎてコメディとしての成立が危ぶまれてきそうなもんですが、そこが、オースティン・バトラーの異界に住んでるような目つきと半開きの唇の凄さ。「かわいそうだけど、だいじょうぶそうだけど、心配」くらいのところからユラユラと落ちない主人公像なのでありました。
もちろんハンク青年が”それほど馬鹿じゃない”ゆえんは、周りにいる人が基本全員魅力的であることから明らかで、どんな精神状態であっても彼に本来的な価値があるから人々がいるわけではあり、中でも恋人との関係は本当に魅力的に描かれています。
そんなわけで、まさかそこまでたっぷり感情移入させて描いたチャーミングな恋人を助けられなかったのは、観ていてまったくのみこめず。「じつは生きていました。じゃーん!」っていうシーンがいつか出てくるんだろうと思って最後の最後の瞬間まで観てしまいました。
まさかコメディだと思って油断させて置いて観客と主人公をああいう追い込み方するとはダーレン・アロノフスキー監督鬼畜の所業。
失って、失って、失って、失って、何もなくなったときに眼の前にいる猫をぱっと抱き上げて、まったく違う人生の扉を開けるストーリーは、なかなかに大人の心に染みるんでありました。いい映画だったなあ。
あと、エンドクレジットはスタントダブルの名前だけでなく、キャットダブルの名前も出ますから、ちゃんと見てくださいね。みんな名優でした。
「主人公たるもの、猫を救わなくては!」でおなじみの名作といえば『エイリアン』