『ハウス・オブ・ダイナマイト』を観てきました。
いつも画面に緊張感がありすぎて怖いキャスリン・ビグローの新作。
Netflix制作で、今週末からは配信も始まるので「まあ、面白そうなら配信で観るか」と油断していたんですが、「めっちゃ面白いから映画館で観るべし」という情報を得まして、急いで行ってきた次第です。
突然、米国を標的としたミサイルが”すでに発射されている”ことが発覚。着弾までの18分間、人々が何を選択し、どう行動するかの記録。
ストーリーは、典型的な”大状況”を扱ったもので、キャスリン・ビグローが選んだにしては急に随分娯楽色が強いのではないか、という余談を持ったのですが、これがまあ面白い。超面白い。
どの国のものかわからないミサイルが、気づいたらすでに”発射されている”なんて、「そんなわけあるかーい」という設定かのように一瞬思えるんです。だがしかし。
その一点さえ何かの都合で起こり得たと仮定してしまえば、そこから後の筋書きは全部超リアリズムで突き進むことができる。
そして、みんな「そんなわけあるかーい」という細い線に乗っかって日常を送っているけども、実は「そんなこと起こり得ない」っていうのはだいぶ脆弱な仮説の糸だと判明する。なぜなら世界はすでに「ハウス・オブ・ダイナマイト(爆弾でいっぱいの家)」だから。
”大状況もの”は、たくさんのサブプロットが展開されて、メインのプロットが畳むのと同時にすべてのサブプロットが閉じるのが、カタルシスでもあり、場合によっては幼稚に見える原因にもなりうる、と私は思っていたんですが、こんなやり方があるとは。
まさかの、サブプロットを閉じないで終わる、というエンディングに呆然とエンドクレジットを観ていたものです。
メインのプロットの方は、進んでいるうちにわりと勝手に閉じてしまうのです。なんとなくいつものクセで「大統領の決断によって物事が動く」みたいなことを前提として現場現場の有能な仕事人たちが動きます。
有能な人が働けば働くほど、「何を選んでもこれはもう詰んでるな」ということは明らかになる。
メインプロットがゴール地点を変えてじわっと閉じてしまい、そして個々に大事な日常を抱えたキャラクターたちが、最初のゴール地点を待たずして、ただ無責任な現実の中に放り出されます。
大状況ものでこんなに渋いストーリーが描き出せるとは思ってもみなかったのでした。
本当に面白い。超びっくりした。