『ワン・バトル・アフター・アナザー』を観てきました。
劇場予告を見た時点で「うわ、このダメそうなデカプリオ観たいわあ」と思っていたんです。
実際観ると、デカプーを食わんばかりにショーン・ペンとベニチオ・デル・トロがおもしろ演技を重ねてくるので、とにかく忙しい映画でした。
革命グループで爆弾作って仕掛けたりするお手伝いをしていたデカプリオが、めっちゃかっこいい革命戦士の女性と出会って恋をし、かわいい娘が生まれるんです。ところがそのお母さんは警察に捕まってしまい、デカプーは娘を連れて逃亡生活を余儀なくされます。
娘を大事に守り育てながらもアルコールと大麻漬けで脳みそヘロヘロになってきたところで政府組織に娘を誘拐されます。昔よしみの革命組織の方は情報をつかんでいて、助けくれようとするのだけども、なにしろデカプーは合言葉も思い出せない体たらく。
しかし、なにがあっても大事な娘だけは助けるノダ!というお話でした。大変だねえ。

ようは、”選ばれし赤ん坊”にはお父さんが三人いて、”全然ダメなお父さん”と”想像を絶するほどダメなお父さん”と”ベネチオ・デル・トロ”なんです。
どう考えてもベネチオ・デル・トロがダントツにいいんですけど、そういうカタログショッピングみたいな話ではなくて、眼の前にお父さんが三人出現しちゃった時点で、自分は何者でどう生きるのか、という問いと直面しなくちゃいけなくなる女子高生の成長譚になります。

男性優位主義を白人至上主義で煮染めた、これ以上を想像するのが難しいくらいの最低キャラクターの警部ショーン・ペンの、初登場シーンがまたすごくてね。
こんなに端的に視覚上効果的に人物のヤダ味を説明するシーンも、他ではあんまり観たことないな、と思ったもんです。
何かが振り切っちゃってるので、困ったことにちょっとチャーミングにすら見えてくるムキムキおじさんショーン・ペン。ラストの安らかな顔も大爆笑名演技でした。

次から次へとオモシロ名優大集合のうえに、カーチェイスも爆発もパルクールもありで「結構なもんを見た」と思いながら劇場の席を立ったら、前にいた二人組が「途中でちょっと寝ちゃった」という話をしておりました。
「えっ、そうだった?まあ3時間は確かにちょっと長いよね」
と思いながら歩いていたら今度は後ろの二人組が「すごい寝そうだった」って話をしていて衝撃を受けました。
結局のところ何十年かかっても革命は起きない映画だから、「思ってたんと違う」となりがち、というのはあるのかもしれない。
とはいえ、すべての登場人物にとって、その人物なりの革命はきちんと起こっているところが非常に素晴らしいと、私は思ったんだけどなあ。
「昔は革命戦士だったのかなんかしらんけど、潜伏中はずっと家にいるだけのパッとしないおじさんじゃん」というのは『爆弾犯の娘』を思い出しました。めちゃくちゃおもしろいエッセイ。
原作はトマス・ピンチョンの長い小説ですね。未読。電子版出してくれないかなあ。