みんな大好き『新幹線大爆破』の話をしてよろしいでしょうか。
「なに、乗組員が草彅剛とのん?それは今度こそ爆発するやつじゃないかっ!」
とか言って、公開前からやいのやいのと楽しませてもらっておりました、独り言で。
公開されるや、わざわざネットフリックスを再開してまでいそいそと観ましたよ(ネットフリックスの広告付きプラン、思ったより気にならないですね)
とにかく新幹線が頑張っていましたね。
私はガッチャンガッチャン動くものに格別の興味関心を示したりする傾向はないんですが、新幹線をかっこいいと思う人達の愛に触れて共感を持つことはできました。走っている姿も爆発している姿も衝突している姿もかっこよかった。
常々苦手な”仕事場で仕事も芝居もしないでボーっと立っている人たち”は相変わらずおりましたが、これは「そうか、こういう表現なんだろうな」ということで、良い加減そろそろ慣れてきた。
あとパニック映画にしばしば起こりがちな”パニックを起こすためだけにそこにいるただ迷惑な人”も私は大変苦手で、
「しかし今回は人類が主役なのではなくて、かっこいい新幹線が主役なのであろうからな」
と折り合いつけつつ観たりしていました。
そんな中、「おお、ついに来たかっ」となったのが中間地点、犯人判明のあたり。
これはついに非常に魅力的なキャラクター登場!と身を乗り出したのです。
そんなわけで言いたくて仕方ないので、猛烈なネタバレの上に単なる妄想垂れ流しという大変品のない行為をしますね。
私はまったくネタバレを気にしないタイプの人間ではありますが、さすがにこれは知らないで観たほうが楽しいと思うので、この先観る可能性がある人には読まないでもらいたい。
一番そこから遠く見える人物が真犯人っていうのは、どんでんしていただく醍醐味で、大変愉快でした。
「あー、お前かっ、なんかいわくあると思っていたけどお前なのかっ」
というところで一旦感情的にすごいブーストかかった上に、「そうだとするとこの人相当興味深いキャラだぞ」となるわけです。ところがその人物の魅力って、そこが最高潮だったんですよね。
心に闇を抱えた人物らしいというのはわかるのだけど、そこから”新幹線に爆弾”までの動機が、映画の中で言い切ってるほどちゃんとつながってないし、少なくても共感の持てるストーリー性には至っていない。
っていうか、どう考えても君はもっとポテンシャルあるよね?というふうに、どんどん一旦あがった感情の線が下がっていってしまうんです。最終的に「ほら身代金のためのクラファンもこんなに集まったし」とか言われて、しおらしく納得した顔するのも、
「そういう子ならこんなにオリジナリティ高い事件は起こしてないだろ」って思いました。何かがおかしい。
そこで私は妄想したもんです。
まず原因となった犯人の子の親子関係。父子二人きりの家庭で「はい、お父様」とか言わせる異様な主従関係を強いる父親からは、劇中では触れられないものの、明らかに性的な支配の匂いがします。
また犯人が自身の肉体に爆弾的な装置を埋め込む突飛な自己破壊的行為も、もし彼女が「父の子を妊娠していた」という状態であれば、なぜわざわざこんな面倒くさいことをしたくなったのかという説明はつく。
父の自尊心の拠り所である新幹線を破壊するための爆弾。父を破壊するための爆弾。父の子と自分の肉体を破壊するための爆弾。だったのだとしたら個性的な真犯人の造形にも納得がいくのです。
……って最初はそういうストーリーから出発したのではないんだろうか?
それが、レイティングなのか「さすがに悲惨すぎる」ということかなにかで端々をオブラートに包んでいったところ、一見魅力ありそうだけど、なんだか今ひとつ葛藤が表面に現れきってないキャラクターになってしまったんじゃないのだろうか。
本当に惜しかったよなあ、と思ったのでありました。豊嶋花ちゃんは大変魅力的だったと思います。
のんが運転席ですごい汗かいてたのが「そこをオマージュすんのか!」となかなか楽しかったです。考えてみれば目のつぶらな感じとか、千葉真一に似ているかも。