DMMドラマ『幸せカナコの殺し屋生活』がとても面白かったんですの。
最初は「評判いいらしいよ」という噂と「のんちゃん主演」というところまでを小耳に挟んでおり、第一話が無料公開だったので出来心で見始めたのでした。
第一話無料を見終わると14日間無料体験の方へ誘導されるわけですが、「無料なら続き見てもいいかもな」くらいのテンションだったので、試しに登録のうえ2話目以降を観ましてね、そのままほぼ一気見だったのでありました。
まずは無料公開されている第一話。
「アジトにはバカでかい換気扇が無駄についてるもんだろっ!」
というジャンル映画の文法にしっかりのっとった絵面に胸を打たれまして、ああこの監督にならついて行ってもいいのだ、と思ったんです。

映画好きのみんな、あなたのお気に入りの謎の換気扇はなんですか。私は『マリグナント』が好きですよ。

これはイケる、イケるぞ。
と思ってみたら次なる現場。賭場には、これまた謎の提灯と屏風でブラック・レイン仕様ですね。むしろほぼ提灯と屏風しかないのでどうやって博打をするのかよくわからないかっこよさ。イケる。

日本のドラマとしては破格のお金がかかってるだろうことはよくわかるんだけど、見慣れたハリウッド大作なんかに比べると当然かなり小規模なのもみてとれるわけで、そんな中で「あ、ここにこだわるのかっ!」というポイントが、非常に良かったですね。
あとは役者さんが本当に楽しそうにやってるのを見るだに、きっといい雰囲気の現場だったのだろうと察されて、観る方もなんか嬉しい。とにかく文脈ぶった切ってでも絵面がかっこいい方に全力をかけていかんとする決意は爽快で
「おー、そこでマトリックスやりますか。いいじゃん」
なんて思ったりして結構あっという間に観てしまいます。
また最後がね。まさかの『テルマ&ルイーズ』じゃないの。
『テルマ&ルイーズ』は素晴らしい作品ですけど、女性たちが自由と怒りの表現を手にいれたことと引き換えに、この世界からは居場所を失う、という幕引きであることはやっぱり悔やまれる。
その点、カナコは「ムカつくやつはぶっ殺す」という女神的性質を手にいれたことで、この世でしっかり生きていく足がかりを手にいれるというエンディング。
「テルマとルイーズをついに超えたか、のんちゃん!」と私は画面の前で泣きの涙で喝采でした。
またカナコがテルマみたいになんだか惚れっぽいんです。そして自信もないから「これ、愛されて従順にしてたら人生なんとかなるかもっ?」みたいな気持ちに何度か駆られるんだけど、勘と本能の知らせによって最終的にはそういう脱線はちゃんと回避されます。
ロップイヤーとかかたつむりとか、かなり漫画的なイマジナリーフレンドがたくさん出て来て、そこだけ見てるとつまらないギャグみたいに見えなくもないのだけど、カナコが男性社会で疲弊した日常を送っている中でも自分を守る勘を手放さずにいたことの視覚的表現としてよく機能していたんじゃないかと思ったのでした。
おすすめ。
名作だけに、どうしてもこの二人を救ってあげられなかったことは割り切れない思いがするのでした。