ニコケイが夢に出まくる映画『ドリーム・シナリオ』を観てきました。
ニコラス・ケイジがむやみやたらと夢に出てきちゃったらそりゃあ面白いだろうけど、その後映画としてはどうするの?という疑問を解決すべく映画館に向かいます。
非常にきれいな映像の中でニコケイの演技の引き出しを無限に見せてもらえるのでとても面白く観てるんです。皆様のニコラス・ケイジが、ミームとして散々な目に合う一方で、全然世界観の種明かしがされないので、だんだんホラー映画みたいに思えてくるあたりが「A24制作だけあって『ヘレディタリー/継承』っぽいな」と思い始めたところで、いきなり『ヘレディタリー』の大スターがなんでもない役でぽっと出てきたのは悪夢的ですごかったです。
「え、今いたよね?私にしか見えてないわけじゃないよね?」
と不安になった瞬間でした。……いたよね?
せっかくの終身在職の教授なのに著作の一冊もなくて、そのわりには学生時代に共同研究に参加した程度の成果に中年過ぎてもこだわっているし、保護者として娘の学校で口論するにも「え、あんた修士?俺博士だけど」とか口走るくらい、人としてはふりきってダサい。
それでも自分の中でコツコツと言い訳を積み上げてなんとか「ひとかどの人」という認識の元でやっと暮らしてるシマウマみたいな性格です。そんな主人公、普通はいたたまれなくてなかなか観てられないと思うんですが、そこはニコケイのすごさで、なんとなく魅力的な人のようにさえ見える。
それが本人の行いと全く無関係なところでいきなりバズってしまったら、「あれ、俺ってやっぱり思ってたよりイケてるんじゃないかな」という気になるというのは、本当によく分かって観ていて辛いところでした。
別にニコケイの方だって昨日今日急に駄目男になったわけじゃなくて、人生のほとんどをずっと駄目男としてそれなりに幸せに暮らしてきただけなのに、なんで突然こんな目に。
散々居心地の悪い笑いで振り回された末に、最後に一瞬ふっとラブストーリーとして終わるところもなんとも言えない気分の、面白い映画でありました。
「いたたまれなさ」において思い出した『ヘレディタリー』。比べると『ドリームシナリオ』の方がぱっと見のコメディ度合いは強いので油断して観てはいられますが、結局同じくらいひどい目に合う。