選挙特番ってものが結構好きなんです。
先日の都知事選のときも「結果はどうあれ、総括は楽しみだ」と思っていたら開票と同時に1位2位まで当確が出てしまって、ずいぶんがっかりしたもんです。少し気の利いたエンタメだったらそこは一時間くらいサスペンスで引っ張ってくれるものを「数える前に決まりました」って言われるのもねえ。
でもその後のメディアごとの分析とか候補者インタビューとかは興味深く観ました。とりわけ、ある候補者のインタビューが最初から最後までまったく話が通じてなかったにはずいぶん驚いた。なぜこの人はあらかじめ不特定多数に向けてこんなに悪意を向けているのだろうか、と動揺した結果、本人が書いたという本を読んでみましたよ。
さすがに色々興味深かったですね。
非常に新自由主義的な人で、とりあえず第一の行動原理はまず損得勘定である、と。
あと、とにかく対立を煽るべし。なぜなら「対立してないものはすなわち馴れ合いだから」というふうに書いてありました。
この理解に対してたぶん著者には「失礼ですけど、本当に熟読されました?」って怒られるんだろうけど、そう書いてあったような気がするんだよなあ。
非常に印象的だったくだり
どのまちも無傷ではいられない。だからこそ被害を最小限に抑える「ダメージコントロール」をしなければいけません。私はこの考え方を、まんが『沈黙の艦隊』(作・かわぐちかいじ/講談社)から学びました。 ダメージコントロールはもともと、戦闘による被害を最小限に抑えるための応急処置を指す軍事用語です。 潜水艦が攻撃を受けた場合、船体を区切る細かな隔壁を閉鎖し、ダメージをできる限り抑えて艦の機能を維持します。極端な話、その壁の向こうに人が残っていたとしても隔壁を閉じなければならない場合もあります。浸水する範囲を限定し、全体が沈没してしまうのを防ぐためです。
石丸伸二. 覚悟の論理 戦略的に考えれば進む道はおのずと決まる (p.136). 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン. Kindle 版.
そもそも、政治家って攻撃を受けた潜水艦の艦長(軍人)じゃなくない?
日々ニュースを観ていて「うむ、この国も沈みゆく船なのであるな」と思うことは多々あるけれど、別に共同体を維持するために自分の生存権を政治家に委譲したしたことは一切ないのだが、こういう理屈だとその点どうなるんだろう。自分のことを潜水艦の艦長かもしれないと思っている人が首長になると住民個人の権利はなかったことになるっていうことなんだろうか。
厄介なのは、リーダーの意見を聞く気がないメンバーが団結して勢力を持つことです。だからまずは、それを切り崩すことから始めるかもしれません。 分断統治といって、支配階層が世の中を統治しやすくするために、支配される側の結束を分断して、支配層への反乱を未然に防ぐ方法がありますね。そのような考え方を応用できます。
石丸伸二. 覚悟の論理 戦略的に考えれば進む道はおのずと決まる (p.180). 株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン. Kindle 版.
選挙後のインタビューであらかじめ喧嘩腰だったことの証左としてはわかりやすいような気はした。意見を聞いたり話し合ったりするのではなくて、対立させられそうなところはどんどん対立を煽っていくことで自分はやりやすくなるという計算があったのだとしたら、当然ああなるのだろうな、とは思いました。
しかし、分断統治って植民地支配の手法ですよね?
(あと「反転可能性テスト」という言葉の使い方は単純に誤用じゃないかと思う。立場でなく要求内容の方を変えてしまうのは「話のすりかえ」なんじゃないかな)