あけましておめでとうございます。年明けは天リフVideoの初日の出配信を流しつつ、双眼鏡で夜明け前の水星とアンタレスを眺めて、その後一足先に*1 初日の出を見ようとしたら想定以上に低空が澄んでいたようで、太陽が半分も出ないうちに目がつぶれそうなくらい眩しくなってきたのであわてて見るのをやめてスマホで撮るだけにしました。
さて、新年早々ですがHDDの中で年越しした未処理の画像データを処理してアップしていきたいと思います。10月12日深夜から10月13日未明にかけて撮影した木星の写真です。
まずは flickr のアルバムに撮影順に10枚入れたものを。

高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), AstroStreet GSO 2インチ2X EDレンズマルチバロー (合成F41.4), ZWO IR/UVカットフィルター 1.25", ZWO ADC 1.25" / Vixen SX2 / L:ZWO ASI290MM (Gain 340) RGB:ZWO ASI290MC (Gain 430), SharpCap 4.1.11817.0 / 露出 8ms x 1500/3000 コマをスタック処理 x 6 (L:3, RGB:3 )を de-rotation して LRGB合成 / AutoStakkert!4 4.0.11, WinJUPOS 12.3.11, RegiStax 6.1.0.8, Photoshop 2025, Lightroom Classic
1枚ずつ見ていきます。

木星の東(左)にガニメデが、西(右)にイオが見えています。そしてガニメデが木星の南半球に楕円形の黒い影を落としています。
画像処理の関係で明るい縁取りが見えてしまっていますが、これはおそらく口径の小さい望遠鏡で明るい惑星を撮ると惑星の明るい縁が二重に写る現象(リムの二重化)と似たような現象だと思われます。
RegiStax の de-ringing と Mask 処理でこれでも結構抑えたのですが、これが限界でした。Wavelet 処理を欲張らなければもう少しごまかせるのですが。そうしてごまかしたものとうまくブレンドできればいいのですが、適切なマスクを作る方法がわからず、適当にやってもうまくいかなかったので、諦めました。処理に今までかかっていたのはそのへんで躓いていたからです。
次は上の写真の約10分後。

前の写真に比べてイオが暗くなっているのがわかるでしょうか。これは日本時間の 0:36 頃にイオが木星の影に入ったからです。すなわちイオの食です。図解するとこんな感じです。
写真は 00:34:42 を reference time として前後それぞれ約2分の範囲で de-rotation しているため正確な明るさではありませんが、キャプチャ動画を見ると 00:35:00 前後から暗くなっているのがわかりました。おそらく既に半影に入っていたのだと思われます。
この時点ではプレビューを見てもまだ異変には気付いていませんでした。あれ?なんかイオが暗くない?と気になったのがたぶんこの1分後のカラーカメラでの撮影中です。気のせいかと思ってスルーしてたのですが気がつくとイオが消えていました。これは上の写真の3分後です。

イオは完全に見えなくなりました。気付いたのはもう少し経ってからだと思いますが、それにしても木星の後ろに隠れる(掩蔽)にはまだ早いのでは…?と訝しみながら画面を睨んでいてガニメデの影を見、ガニメデがここに見えていて、影がここということは!?と、木星そのものではなく木星の影に隠れた(食)ことに気付いたのでした。
00:37:14 に撮影開始したモノクロカメラのキャプチャ動画を SER Player でゲイン、ガンマを最大にして再生するとイオがギリギリ見えており、それが 00:37:25 あたりで完全に見えなくなりました。
ガリレオ衛星の掩蔽ではなく食を見たのはたぶん始めてだと思います。意識してなかっただけで掩蔽だと思ってたら食だったというケースはあったのかもしれませんが…
なお、撮影時刻はPCの時計によるもので早朝に同期しているため撮影時点では1秒前後の誤差はあると思います。
そして13分後。

ガニメデの影がすごいことになってます。木星面の端の斜めになった部分に影が落ちることで影が伸びているのです。
ちなみにガニメデの大きさに比べて影が妙に大きく見えますが、黒い部分は概ね半影を含んだ影です。実際には影の縁から真ん中までグラデーションがあるのですが、画像処理の影響で黒く潰れてしまっています。一方でガニメデも画像処理の影響で縁が暗くなっており、実際より小さく見えています。
さらに26分後。

ガニメデの影は木星面から外れて見えなくなりました。
1時間49分後。

大赤斑が見えてきました。今期初の大赤斑です。ガニメデもだいぶ木星に(見かけ上)近づいています。
そして20分後、木星の後ろからイオが出てきました。イオが出た瞬間は実は撮れていなくて、モノクロカメラで 03:56:46 まで撮ったキャプチャではイオがまだ見えず、カラーカメラで 03:57:40 から撮ったキャプチャでは既にイオが顔を出していました。
イオが完全に出たのはその次のモノクロカメラのキャプチャの 03:59:01 あたりでした。上の写真では画像処理(de-rotation と wavelet)の影響で木星の縁が少し欠けたようになっていますが、実際はイオが木星の縁からギリギリ離れたところです。
6分後。

イオが木星から離れてきました。一方ガニメデは木星に近づいています。そして23分後。

ガニメデの木星面通過が始まりました!上の写真ではガニメデが半分木星面と重なっています。ガニメデが木星面と接触したのは 04:23:05 あたりでした。木星の縁のグラデーションと重なってわかりにくいのですが 04:35:59 あたりで完全に木星面の上に乗ったと思います。
最後は 04:50:24 の写真。

夜明け前(航海薄明の1分前)の撮影でシーイングもやや不安定でしたが、大赤斑がほぼ正面の写真が撮れました。そして、ガニメデの模様に注目です。WinJUPOS のシミュレーション画像がこれ。
上の写真を同じスケールでクロップしたのがこれ。
ガニメデの北半球の右側の黒い部分とそして南半球の中央付近の明るい部分はどうやら実際の模様のようです。ガニメデは地球の月と同様に自転周期と公転周期が同期して木星からは常に同じ面が見えているため、木星面通過中に見えるこの模様は木星視点で言うと「ガニメデの裏」の模様ということになります。
ということで、約5時間にわたって撮り続けた木星の写真から見どころをピックアップしました。イオの食、イオの掩蔽からの出現、ガニメデの影とガニメデ本体の木星面通過、そして大赤斑と盛りだくさんな夜でした。
ぜひタイムラプス動画にしたいのですが、以前お伝えしたようにデータ量が多すぎて手動では無理なので、大量 de-rotation の自動化を考えています。実は WinJUPOS の作者の Grischa Hahn さんに連絡を取って相談したところ、この手のユースケースを支援する機能に興味を持っていただけたようなのですが、どうなることやら…
と思ったら1月1日付けで WinJUPOS 12.3.12 が公開されていました!リリースノートによると、reference time をずらしていって連続で de-rotation 画像を出力するもののようです!
2024-12-31, 12.3.12 ------------------- - De-rotation of images: - new option "Save image sequence" for output of video frames between first and last Image measurement - Bugfix calculation of Local Time (LT) if UT is less than half a second before midnight
期待通りに使用できるかどうかわかりませんが、というかたぶんこれだけだとまだ手作業がだいぶ必要になるとは思うのですが、明日試してみたいと思います!


