12月8日に撮影した土星食の動画を仕上げました。そして今回の動画編集のために作ったSER動画の変換用ツール SER-FFMPEG を公開しました。
潜入
まず適正露出で撮った土星の潜入です。
チンチレーションが激しくてはっきりしませんが、第1接触(土星が隠れ始める)は18:18:48.9、第2接触(土星が完全に隠れる)は18:19:57.3ぐらいでしょうか。
タイタンや地球照の月面が見えるように ffmpeg のフィルターで明度を上げたものを以下に。

撮影データは上に同じ。
土星の右の方に見える星がタイタンです。タイタンと土星の間にギリギリ見えているのはレアです。タイタンは18:21:16.8ぐらいで隠れました。
出現
適正露出で撮った土星の出現です。最初は月面に露出を合わせてありますがゲインを上げていって出現直前には土星が適正露出になるようにしました。

撮影データは上に同じ。
第3接触、と言っていいのかわかりませんが、18:59:48.1あたりで土星の環が出てきました。第4接触、環を含めた土星全体が出たのは19:02:36.4あたりです。
タイタンが見えるように ffmpeg のフィルターで明度を上げたものを以下に。

撮影データは上に同じ。
タイタンの出現は月面からの照り返しのカブリで識別できませんでした。上の動画はタイタンが月からだいぶ離れてからギリギリ視認できたあたりから始まっています。
全過程
潜入から出現までを32倍速で再生する動画を作りました。潜入後も土星を追尾し続けて撮ったものです。土星が見えない間はゲインを調整して月面に露出を合わせています。

撮影データは上に同じ。
SER動画の変換用ツール SER-FFMPEG
今回は約1時間15分間の撮影でファイルサイズが533GBにもなったSER動画を編集する必要がありました。定番の動画編集ツール ffmpeg はSER動画も扱えるのですが、高速シークができないようで、カット編集に無茶苦茶時間がかかってしまいます。
流星動画用に作ったツール「MeteorDigestMovieMaker」はSER動画の高速シークができるので、これを使ってみたのですがエラーになってしまいました。
MeteorDigestMovieMaker は 16bit RAW の SER を読めるようにしたつもりでしたが、実はタイムスタンプ描画のために使っている画像編集ライブラリ Pillow が 16bit/channel のRGB画像を扱えないという制限がありました。
MeteorDigestMovieMaker をなんとかして 16bit RAW に対応させることも考えたのですが、今後のために汎用的に使えるツールが欲しいなと思って作ったのが SER-FFMPEG です。
例によって Python のスクリプトですが、内部で環境にインストールされた ffmpeg を呼び出していて、ffmpeg のオプションをコマンドラインにそのまま渡せるので、コーデックや圧縮パラメーター、フィルター処理など、ffmpeg の機能を利用できます。また、デフォルトでタイムスタンプ表示を追加します。タイムスタンプはSERファイル内に記録されたものを使用します。
その他以下のような機能があります。
- N倍速(--speed オプション):
- フレームスキップ方式で任意の整数倍の倍速動画にすることができます。
- プレビュー(--ffplay オプション):
- フォントの調整(--font, --font-size, --font-color オプション):
- タイムスタンプ表示に使うフォントの種類、サイズ、色を調整できます。
- タイムスタンプ表示位置調整(--timestamp-position, --timestamp-margin オプション):
- 現地時間表示: タイムスタンプはデフォルトでは UT ですが、現地時間表示にすることができます。
- タイムスタンプなし、タイムスタンプのみ(--no-timestamp, --timestamp-only):
- デフォルトのままだと ffmpeg のフィルターがタイムスタンプ表示にも適用されてしまうので、フィルターで画質を大きく変える場合はタイムスタンプなしで処理してから、タイムスタンプのみの動画も作成して、2つをオーバーレイ合成します。
詳細は README.md を参照してください。
