12月7日の朝、ミューロン180Cで 4296, 4294, 4298 黒点群を撮りました。まずは結果を。
【注意!】 太陽の観察・撮影には専用の機材が必要です。専用の機材があっても些細なミスや不注意が失明や火災などの重大な事故につながる危険性があります。未経験の方は専門家の指導の元で観察・撮影してください。

4296, 4294, 4298
黒点群 (2025/12/7 11:21-11:22)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), バーダー
プラネタリウム アストロソーラーフィルターフィルム, ZWO IR/
UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM (Gain 250), SharpCap SharpCap 4.1.12946.0, 露出 0.15ms x 1000/3000コマをスタック処理 x 2枚モザイク / AutoStakkert!3 4.0.11, RegiStax 6.1.0.8,
Lightroom Classic,
Microsoft ICE 2.0.3.0 で画像処理
黒点番号は左から 4296, 4294, 4298 です。天球の北を上にした構図なので、太陽の自転軸方向が半時計回りに15度くらい傾いています。
大きさの比較のために太陽の表面の位置に地球を30個並べた想定の画像も作りました。

4296, 4294, 4298
黒点群 + 比較のために等距離に置いた地球30個 (2025/12/7 11:21-11:22)
なかなかの迫力ですが、正直この倍くらいは解像して欲しかった… シーイングのせいなのか筒内気流のせいなのか、像の揺らぎが激しくて口径18cmの解像力を活かしきれませんでした。大きなグニャグニャした揺らぎは日が昇るにつれて収まる瞬間が増えてきましたが、細かく泡立つような揺らぎはずっと続いていました。
ついでに撮った4299黒点群も貼っておきます。画像は上の写真と同じ倍率になるようにサイズを調整して貼ってます。

4299
黒点群 (2025/12/7 10:53)
高橋 ミューロン180C (D180mm f2160mm F12 反射), バーダー
プラネタリウム アストロソーラーフィルターフィルム, ZWO IR/
UVカットフィルター 1.25" / Vixen SX2 / ZWO ASI290MM (Gain 250), SharpCap SharpCap 4.1.12946.0, 露出 0.15ms x 1000/3000コマをスタック処理 / AutoStakkert!3 4.0.11, RegiStax 6.1.0.8,
Lightroom Classic で画像処理
さて、今回始めてミューロン180Cで太陽を撮りました。元々このためにデカいサイズのアストロソーラーフィルターフィルムを買ったのですが、勇気がなくて今まで踏ん切りがつきませんでした。
今回は久しぶりに SX2 赤道儀を使っています。これは朝の早いうちからテストするのに高度の低い太陽に鏡筒を向けた際に鏡筒がベランダの柵にぶつからないようにするためです。AM3 用の純正三脚とハーフピラーでは高さがあまり稼げないので。ビクセンの三脚に AM3 が取り付けられるとよいのですが…
夜中のうちにベランダに赤道儀を出して極軸をよく合わせておきました。ちなみにワイヤレスユニットを久々に使ってみましたが、相変わらずファームウェアアップデートが途中で止まってしまう… と思ったら、3度目のトライでアップデートが完了しました!
が、自動導入開始後実際に赤道儀が動き出すまで30秒から1分くらいかかる現象が頻発し、手動操作による微動でも同様のことが起こり、これでは構図の調整もままならないので結局STAR BOOK TEN (SB10)に戻しました…
Wi-Fi のチャンネルを変えたらなおるのかもしれませんが、最悪11チャンネルあるのを全部試すことになるし、1回試すたびにワイヤレスユニット再起動とかやってられないので。ていうか自動で最適なチャンネル探すとかやってくれないんですかね?AM3 でも Star Adventurer GTi でも Wi-Fi チャンネルガチャとか必要なかったし。
SB10は既に生産終了で壊れたら入手は困難なのでなんとかワイヤレスユニットを使いこなしたかったのですが…
それはさておき赤道儀の調整が終わったらアストロソーラーフィルターフィルムのフィルター枠を6本入り2Lペットボトル用の段ボール箱2つバラして作りました。やり方は以前とほぼ同じです。
今回は外側に巻く2つ目の段ボール(上の記事の段ボールB)を幅広に作って筒先を飛び出してフードみたいになるようにしました。保管の際にフィルターに触れないようにしやすいと思って。でも今思うとフード状になっているとそこが温められて筒先の気流を乱す原因になっていたかもしれません…
ファインダー用のフィルターも作りました。今までは鏡筒の影を見て太陽を導入していましたが、長焦点鏡だとそんなアバウトなやり方では大変だと思って。
※ アストロソーラーには撮影用と眼視用がありますが、眼視用を使用しています。
7:00頃からフィルターのテストを開始。早めに始めたのは日が低いうちの方がフィルターの性能が足りなかった場合でもダメージを軽減できると思ったからです。先に鏡筒とファインダーにフィルターを取り付けて、西向きのホームポジションの SX2 に鏡筒を載せました。ミューロン180Cの接眼部のフタは無塗装のアルミ製なので万一でも大丈夫だろうと思いそのまま太陽を自動導入。
ファインダーを覗くのは勇気がいりました。覗く前に接眼部に手のひらを当てて熱を感じないのを確認してかそっと覗くと真っ白な太陽が見えました。表面の黒点もはっきり見えました。眩しいという程ではなかったので落ち着いてレティクルの中心に太陽を導入して、今度はミューロンの接眼部にカメラを取り付けます。
また手のひらを接眼部に当てて何もないのを確かめてから UV/IRカットフィルター付きの ASI290MM を取り付けます。普通にプレビューが映りました。センサー温度は22℃。センサー温度は日が昇るにつれて上がっていきましたが、11:23の時点で38.5℃でした。ASI290MM の動作温度は-20℃〜45℃とのことで、まだ余裕があります。
とはいえ冬でこれなら夏はどうなのか?と思って、過去の撮影でのセンサー温度を確認したところ、アストロソーラーのファーストライトをやった2023年8月には48.1℃まで上がっていました… まあこのくらいまでは大丈夫ということでしょうか。また、NDフィルター時代の記録ですが、2020年12月の撮影では38.5℃が記録されており、冬に38℃になったからと言ってあわてるようなことでもなさそうです。
【注意!】 以下太陽の眼視観望についての記述がありますが、知識や経験があっても些細なミスや不注意で失明等の重大な事故につながる危険性があります。基本的にはおすすめしません。詳細は追記を参照してください。
最後にファインダーだけでなくミューロン180Cでも眼視で太陽を見てみました。笠井31.7mm90°DX正立プリズムを使い、*1 アイピースはセレストロン ズームアイピース8-24mm と 北軽井沢観測所 Lavendura 40mm です。念の為、正立プリズムの対物側に ZWO UV/IR Cut Filter を付けておきました。
セレストロンのズームアイピースは18mm(300倍)までで見ました。それ以上は飛蚊症みたいな影が視野で目立ってしまい黒点が極めて見にくくなるからです。135倍、225倍、300倍で見ましたが、どれも太陽面は真っ白で粒状班などは視認できませんでした。黒点は半暗部が薄いオレンジ色、暗部は暗い茶色っぽい色に見えました。写真のようなザラザラした感じはないですが、暗部の複雑な形はどの倍率でも視認できました。Lavendura 40mm の135倍が一番見やすかったです。とはいえ何らかの減光フィルターを使った方がもっと色々見えたかも。
というわけでミューロン180Cでも太陽を撮れるようになりました。が、期待したほどの解像は得られず… 元々太陽撮影はシーイング的に厳しくて歩留まりが悪いのですが、それに輪をかけて厳しい感じです。もっとこう、磁石に吸い付く砂鉄みたいな模様が黒点の周りにうじゃうじゃと見えてほしいんですが…
追記: 望遠鏡による太陽の眼視観望について
コメント欄で注意書きが甘いのではないかというご指摘がありましたので、文中に特に眼視観望については基本的に推奨しない旨追記しました。
ただ、やるな、おすすめしない、だけでは止められない想いもあるでしょうから、以下で自分が何を気をつけたかを追記します。以下を守ってもなお危険なものは危険ですので、やるなら片目を失う覚悟で。
まず、一般に太陽用の減光フィルターには撮影用と眼視用があります。撮影用の方が減光量が少ないです。これは低感度フィルムで高速シャッターが切れるようにそうなっているのですが、今どきのデジタルカメラの感度ではほぼ無意味なので眼視用一択です。間違って撮影用を買ってしまったら捨てて買い直した方がいいと思います。フィルム自体は見ても区別がつかないですし、取り違えた時が怖いので。
次にフィルター枠についてですが、観望中の脱落の危険性を少しでも低減するために、なるべく長い筒の、太さは鏡筒に十分フィットしたものを作ります。着脱に苦労するくらいがマストです。僕が作ったものは筒の長さが20cmです(先端のフード状になった部分を除く)。もっと長くていいと思います。
また、フィルター枠の作りが甘いと観望中に分解してしまう危険性があります。最後の仕上げ(この記事の図の⑦)で使うガムテープには粘着力の強いものを十分な長さで貼り付けましょう。図の貼り方では甘いかも。⑥の時点で既にやり直しはきかないので、ぐるぐる巻きにしてしまう方がいいかも。
風が強い日は風圧でフィルターフィルムが裂けたりフィルター枠が脱落したりする危険性があるので観望を中止しましょう。
フィルターの使用前にはフィルターフィルムに穴や裂け目ができてないか確認します。単純な目視チェックだけでは小さな穴などを見逃してしまうので装着前にフィルターフィルム越しに太陽を肉眼で見てチェックします。
フィルター枠の装着時に空気圧で裂けたりすることもありますので装着後にもフィルターフィルムを目視で確認します。これは外観しかチェックできないですし、見逃した小さな裂け目がチェック後になって広がる可能性もありますので、チェックすれば安全安心ということはありません。
フィルター枠の装着はゆっくり慎重にやります。鏡筒にフィットする良い作りのフィルター枠ほどフィルターフィルムにかかる圧力が高くなってフィルターフィルムが裂けるリスクがあります。開放型の反射望遠鏡にフィルター枠を装着する際は接眼部のフタを外すと空気が通りやすくなって装着しやすくなります。
フィルター枠の装着後は先にカメラでの撮影または電子観望を行います。フィルターに問題があればここでカメラが損傷することになりますが、失明するよりはマシです。CMOSカメラを使っているならセンサー温度も確認しておきます。50℃以上になっていたら何か問題があると思います。
眼視の際にはUV/IRカットフィルターを使用しました。アイピースに取り付けてもいいですが、アイピース交換時にフィルターを付け外しするのが大変なので天頂プリズム側に付けておきました。
アイピースを取り付ける前に接眼部に手を当てて熱を感じないか確認します。感じるほどの熱があれば何か異常があるので観望は中止しましょう。
こんなところでしょうか。これだけ気をつけても安全安心ということはありません。基本的にエクストリーム・スポーツ的な何かだと思っておくべきだと思います。