こんにちは!
今回は大下栄治著「高倉健の背中 監督・降旗康男に遺した男の立ち姿 」の感想です。
- 作者:大下英治
- 発売日: 2017/01/20
- メディア: 単行本
生涯で21本のコンビを組んだ、映画監督・降旗康男と高倉健。
降旗監督の証言を核に、チームの名カメラマン木村大作、
『駅 STATION』で共演した倍賞千恵子、『あ・うん』以降、
公私ともに付き合いが続いた坂東英二など、
多数の証言から稀代の名優を浮き彫りにする。
高倉健が東映より俳優デビューした1956年の翌年、
降旗康男は東映東京撮影所に入所、助監督見習いとなった。
撮影中に、美空ひばり宅に遊びに行っていた高倉に、
見張り役として降旗氏が同行したのが、ふたりの初めての出会いだという。
66年以降、東映では『網走番外地』シリーズ6本を含め、
11の作品を高倉健・主演で手掛け、
フリー以後は高倉にとって遺作となる『あなたへ』まで10本、
コンビで数々の名作を残した。
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高倉健が死んだとき、世間は彼をまるで「聖人君子」のように扱いましたした。
自分はこの本を読むまで、彼のことを良く知らなかったので、世間のイメージ通り「高倉健=古き良き日本男児」という印象でした。
でも。
この本を読んだら、そんな大した人間じゃないことがわかりました。
むしろ、わがままで自己中心的で、人の好き嫌いが激しく、他人の話を聞かない、典型的な「スター」でしかないことがわかりました。
この本は基本、高倉健を持ちあげる姿勢で書かれているので、「高倉健の美談」や「人間味を感じさせるエピソード」が山ほど載っています。
しかし、この美談やエピソード、よくよく考えると「いや、むしろやってることは畜生じゃねえか」というものが山ほどある。
例えば彼は伊丹十三が嫌いだったらしく、同じ映画で共演した際も同じ宿に泊まることをこばみ、あげく十三の次の仕事を妨害するようなことまでしたらしい。
また、自分が離婚して寂しかった時には、家に帰るのが寂しいので、撮影スタッフをお正月三が日、撮影現場にいるよう強要したこともあった。
気に入らないことがあるとすぐへそを曲げ、撮影現場から逃亡。
自分の勘違いなのに、メンツをつぶされたと誤解し絶縁、以降関係修復をしようともしない。
どれもこれも、はっきりいって今の時代なら「クズエピソード」でしょう。
なんですが、なぜかこの本だとこういうエピソードが「高倉健はそれでも悪くない」というスタンスで書かれており、その姿はまるで狂信者です。
上に書いたように、結局高倉健という男は「自分の感情が最優先なんだな」とわかりましたね。
周りの狂信者達はいいように解釈したのかもしれませんが、自分にとって「快」か「深い」か。
その指針でのみ行動する、野獣のような人間だったんだと思い知りました。
別に良いと思うんです、役者なんてそんなもんでしょう。
人間的にクズだろうがなんだろうが、演技がうまけりゃいいんですよ、映画を見る側からしたら。
だけれども、一人の人間を題材に本を書くのなら、「マンセー」ではなく、その人間の良いところも悪いところも、清濁併せ持って書くのが作者として正しいスタンスではないでしょうか。
ファンかなにか知りませんが、「好き」だからといってその人のダメな部分まで見えなくなるのはどうかと思いますよ。
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