前置き
今回はこちらの書籍の感想。
- 作者: 倉貫義人
- 出版社/メーカー: 日本能率協会マネジメントセンター
- 発売日: 2019/08/31
- メディア: 単行本
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ソニックガーデンの倉貫さんといえば『納品」をなくせばうまくいく』。当時、こんな受託開発のやり方があるんだと衝撃を受けた。
- 作者: 倉貫義人
- 出版社/メーカー: 日本実業出版社
- 発売日: 2014/06/12
- メディア: 単行本
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要約
タイトルの「ザッソウ」は「雑談+相談」を合わせた言葉。
冒頭では作業の効率化を求めすぎて失敗した後、雑談と相談の重要性に気づいたところか始まる。
アイデアを生み出し 、成果を上げて結果を出すために必要なのは 、効率化だけを追求するのではなく 、気軽に雑談と相談ができるチ ームでいることこそが重要なのだと考えるようになりました 。
報告+連絡+相談=ホウレンソウは有名だが、なぜ「雑談」も必要なのか。
「相談はともかく 、なぜ雑談まで必要なのか ? 」そう不思議に思うかもしれませんが 、相談しながら雑談することもあれば 、雑談しているうちに相談になってアイデアが生まれることも多くあります 。相談と雑談のあいだに明確な境界線を引くことは難しいのです 。それに 、普段から雑談さえしていない関係で 、急に相談するとなると心理的なハ ードルがとても高くなります 。雑談できる関係性があるからこそ 、いつでも相談できるようになるわけです 。
「雑談」を普段から行って信頼関係の土台を作ることで、「相談」しやすくする状況を作るため。
相談ができないと、チームの生産性を下げる自体に発展してしまう恐れがある。
普段から話したこともないような相手だと 、相談の前に声をかけることすら緊張するものです 。 「こんなことなら 、わざわざ相談しなくていいかな … … 」と 、言い訳を考えてしまいます 。
相談ができないと 、大きな手戻りが発生する 、聞けば一瞬でわかることに時間をかけて調べてしまうなど 、チ ームの生産性を下げることになってしまいます 。相談できないことは個人の問題ではなく 、チ ームの問題なのです 。
効率化された情報共有だけでは、個人のモチベーションは保たれない。
効率化された情報共有だけを徹底的に追求すると 、短期的な成果は見込めますが 、その結果として個人のモチベ ーションが保たれず 、辞めていく人が出てきてしまうことになります 。そうなると長期的な視点で見たときに 、組織として成果を出し続けることは難しくなってしまいます 。
この書籍でも、「心理的安全性」の重要性が語られる。
・心理的安全性 (たとえミスしても非難されない ) ・相互信頼 (仕事を最後までやりきってくれる ) ・構造と明確さ (有効な意思決定プロセスがある ) ・仕事の意味 (自分自身にとっても意義がある ) ・インパクト (どう貢献しているか理解している )
「心理的安全性」とは、仲良しでいるということではない。
仲良しでいたいという理由で 、成果を出すために本来言うべきことを言わないでいるとしたら 、生産性の高いチ ームにはなりません 。
順番としては 、チ ーム内の心理的安全性が高まり 、成果を出すために意見を言い合えるようになることが先です 。たとえ仲良しでなくても 、真正面から遠慮なく意見をぶつけ合える関係性ができれば 、その次にきっと成果を出すことができるでしょう 。大きな成果を出すことができれば 、チ ームのメンバ ーがお互いをたたえ 、仲良くなるはずです 。結果としては仲の良いチ ームに見えるのですが 、それが狙いではないのです 。
報告と連絡よりも「相談」が重要なのはなぜか。
報告と連絡は対話がなくても成立しますが 、相談だけはそうはいきません 。というのも 、相談は伝えて終わりではなく 、未来に向けて内容を話し合う必要があります 。つまり 、ホウレンソウのうち相談だけが 、決まっていないことを議論して 、仕事を前へ進める役割があり 、それだけ大事だといえるのです 。
基本的にアイデアは 、その人の過去の経験から生まれます 。実体験に限らず読んだ本や見た映画なども含まれます 。そうした経験を蓄積した人生というインプットがあるからアイデアが出るのです 。逆をいえば 、その人が経験していないことからは何も生まれてきません 。そこで他の人に相談することで 、その人が経験したことや考えたことを新たなインプットにすることができるようになります 。
今の時代、どんなチームが成果を上げることが出来るのか。
チ ームの目的達成のために自分事で考え 、動くことのできる人たちで構成されたチ ームだと私は考えています 。さらに言えば 、仕事の責任を果たすために 、 「自分だけ仕事をすればいい 」と考えるのではなく 、 「チ ームの成果を最大化するために 、できることはなんでもする 」と考えられる人たちで構成されたチ ームなのではないかと思います
ザッソウは無理やり取り入れるものではない。
ザッソウの習慣をチ ームに広げていく際にもっとも重要なことは 、ザッソウそのものを無理やり取り入れないことです 。それよりも 、ザッソウが自然と生まれてくるような人間関係や環境に力を注ぐことから始めましょう 。
ザッソウには6つの効果がある。
- 助け合いのできる信頼関係が構築される
- 共通の価値観やカルチャーが醸成される
- 社員のキャリアや将来への不安が少なくなる
- 気軽なフィードバックで仕事の質と速度が向上する
- マニュアル化されにくい暗黙知が共有される
- 自分たちで判断して仕事を進められる社員が育つ
信頼関係は少しづつ溜まっていくもの。
F a c e b o o kをはじめとした S N Sなどで知り合いや友人とつながっている人も多いと思います 。それでも 、やはり普段からコミュニケ ーションを取っていない人に声をかけるのは勇気がいるものです 。頻繁にコメントでやりとりをし 、 「いいね ! 」を押し合っている人の方が話しかけやすいのではないでしょうか 。繰り返し接することで好意度や印象が高まる効果を 、心理学では 「単純接触効果 」や 「ザイアンスの法則 」といいます 。 C Mで流れる曲が売れる仕組みも同じです 。
「働きがい」と「働きやすさ」は異なってくるもので、ザッソウはそれら両方を高める。
働きがい :仕事を通じてやりがいを感じること
働きやすさ :仕事をしていくうえでの環境や制度に関すること
コミュニケーションは人にとっての癒しとなり、人間の本質を捉えていくことで成果は上がっていく。
そもそも人間同士のコミュニケ ーションは人にとっての癒しになります 。
「ザッソウ」しやすい職場をつくるには。
意図的にザッソウの内容の質を上げていく。
そこには4つの段階がある。
ゾーン1 他愛のない雑談
ゾーン2 交渉や合意形成
ゾーン3 問題解決の議論
ゾーン4 新しいアイデア
コラボレーションが生まれる関係を構築するには。
人が集まるだけではチームにならない。
人の集まりの関係性をレベル分けしてステップアップしていけるように考えられたのが「チームワークの7つの段階」。
レベルアップしていくことで、ザッソウが有益なものになっていく。そして本当のチームワークが生まれる。
レベル 4を経てレベル 5 ~ 7になると 、初めて有益なザッソウを実現することができます 。お互いの存在を認め合うことで相談したいと思うようになり 、信頼されて相談されると真摯に知恵を出そうとするものです 。それがレベル 5の段階です 。
「共通の目的の実現こそが最優先 」と共有されているので 、利害関係を越えて協力し合うこともいとわなくなりますし 、表現に配慮しつつも遠慮なく意見をぶつけ合うこともできます 。これこそが本当のチ ームワ ークです 。
しかし、レベル5まで進めてもそこから先に進めなくなってしまうこともある。そこでヒントになるのが「タックマンモデル」。
共通の目的は認識していて 、お互いのことを認め合って相談もしているけれど 、どこかで意見がぶつかることを恐れ 、それで言いたいことを飲み込んでしまうといったことが起きてしまっているのです 。その状態を乗り越えるヒントになるのが 、有名な 「タックマンモデル 」の考え方です 。
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タックマンモデルにおける「ストーミング」の状態を乗り越えるには、タックマンモデル自体を共有してみる。
ここを乗り越えるポイントの 1つが 、このタックマンモデル自体をチ ームや関係者全員で共有することです 。スト ーミングの段階を乗り越えることでチ ームが一皮むけて次の段階に進めると信じることができれば 、生産性の低下も前向きに捉えることができるようになります 。
ザッソウしやすい心理的安全を高める9つの観点がある。
- チームの目標がはっきりしている
- 適度に話しやすい人数である
- 強みを知り、認め合っている
- 強みだけでなく、弱みもみせる
- プライベートなことも共有している
- 情報がオープンになっている
- 判断基準と価値観が共有されている
- リアクションの意識がそろっている
- 「肯定ファースト」と「NOと言うこと」
人間の多面的な部分を見ることで心理的安全性は高まる。
そもそも人間は多面的なものですが 、関係性が薄いとその人の一面しか見えていないことが多いのです 。そうした多面的な部分が見えるようになると心理的安全性は高まります 。これもニワトリとタマゴの問題で 、専門的には 「因果性のジレンマ 」というのですが 、それが起こるのです 。
人間の脳は自分の知らないことやわからないことに対してネガティブになってしまうので、情報をオープンにしないと心理的安全性は高まらない。
人間の脳は 、自分の知らないことやわからないことに対して 、ネガティブな想像で補完してしまう傾向にあるそうです 。
ザッソウできる職場にはゆとりがあり、ザッソウが溢れている。
ザッソウするためには業務改善を行い、ゆとりを作り必要がある。
業務改善には現在の業務を分析して「見える化」がポイントになるが、同時になんでも言い合える関係性を気付くための「言える化」も進める必要がある。
心理的安全性が低かったり 、目標やビジョンが共有されていない状態で聞き出そうとしても 、素直に答えてくれることはないでしょう 。
アイスキャンディの 「ガリガリ君 」で知られる赤城乳業株式会社では 、社内の 「言える化 」を大事にすることで 、社員からのアイデアを引き出し 、自由闊達な組織をつくり上げているそうです 。
赤城乳業の 「言える化 」を実現するための工夫の 1つが 、委員会やプロジェクトという形で縦割りの部署を超えた横串の活動を行うことです 。その委員会のリ ーダ ーに若手社員を抜擢することで 、意見を言える場をつくり出しています 。また 、全員参加の社員旅行であったり 、同期と映画やミュ ージカルを見る 「感性教育 」という制度に取り組むなど 、心の壁を取り払い 、お互いを知るための機会をつくっています 。これらも 「言える化 」できるようにするための取り組みということです 。
チームワークには人の喜びがある。
どんな仕事でもチームで成果を上げられるようになれば楽しくなってくるはず。
どんなにつらい状況になっても 、一緒に愚痴でも言い合いながら立ち向かう仲間がいれば 、乗り越えられる 。少なくとも 、そう思える希望があるなら不幸とまではいかないでしょう 。
どんな仕事だって 、目標に向かってチ ーム一丸となって成果を出していくことができれば楽しいものになるはずです 。
まとめ
本書籍の最も大事なことは、最後の以下の一文が顕著に表している。
ザッソウよりも大切なことは 、ザッソウが自然と生み出されるような環境をつくっていくことです 。
前々回の記事でOKR、
前回の記事で1on1に関する書籍の感想を書いたが、
共通して言えるのはメンバーが「所属」を実感出来ているような組織を作っていくことが、
組織のパフォーマンス向上の鍵になると言うこと。
OKR、1on1、ザッソウはいずれもwhy・how・howの部分。
whyを忘れてただ制度として始まるだけ始めてしまっても、それぞれの真の効果は得られないだろう。