※本記事は OpenShift Virtualization アドベントカレンダーの 20日目の記事です。qiita.com
目次
- 目次
- この記事のゴール
- 本記事の情報源となる役に立つリンク集
- v4.20 (リリース日 2025年10月21日) - よりvSphereのような使い勝手の追求とストレージオフロードによる移行の超高速化
- v4.19 (リリース日 2025年06月17日) - UI刷新、多言語サポートによる安心の日本語対応
- v4.18 (リリース日 2025年02月25日) - 市場最安値!仮想マシンのためのOpenShift 新エディションが登場
- v4.17 (リリース日 2024年10月01日) - 待望の仮想マシンのストレージマイグレーションが登場
- v4.16 (リリース日 2024年06月27日) - パートナー製品との連携もしっかりアピール!
- v4.15 (リリース日 2024年02月27日) - パブリッククラウド風な使い勝手に!
- v4.14 (リリース日 2023年10月31日) - WindowsゲストOSのクラスターのサポート!
- 今後の本記事の更新予定
はじめに
皆さんこんにちわ、Red Hat Global Learning ServicesでLearning Solution Architectを担当している坂井 大和(@lab8010)です。

主にX.com上でRed Hat製品やサービスについて配信をしているので、もしよければフォローくださると幸いです。
この記事では、『Red Hat OpenShift Virtualizationがこれまでどのように機能強化されてきたか?』という疑問に対して各バージョンにコメントをしつつ解説します。
市場においてOpenShift Virtualizationの立ち位置はサーバ仮想化製品としては歴史のあるテクノロジーを携えてはいるものの、マーケットの中での認知度はこれから伸ばしていく必要があります。
そこでこの記事の狙いは、どのような速度で成長し、どのような機能が追加されていったのかをこの1つの記事で俯瞰して見ることができるようにしています。
なお、この記事では特にオンプレミス環境における仮想化基盤管理者にとって嬉しい機能や注目すべき機能をピックアップしてご紹介いたします。
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この記事のゴール
この記事を読み終わった頃には、読者様が次のことが出来る状態になって頂きたいと考えています。
- Red Hat OpenShift Virtualizationの成長の過程を理解する
- 同製品が競合の仮想化基盤とどのような点が共通しており、どのような違いがるかを理解する
なお、本記事は可能な限りアップデートをしていく予定も考えており、また初回投稿時点では部分的な情報を優先して投稿します。よって時間をかけて記事の中に全ての情報が含まれる形とする予定です。
それでは、早速本編に入っていきましょう。
本記事の情報源となる役に立つリンク集
v4.20 (リリース日 2025年10月21日) - よりvSphereのような使い勝手の追求とストレージオフロードによる移行の超高速化
注目の機能は次の通りです
- 仮想マシンのライブマイグレーション時に移行先ホストが指定可能となる
- この機能はvSphere vMotionと同等の機能になったと言える
- 2ノードと調停ノードによる小規模クラスターのサポート
- ARM対応のOpenShiftノードの対応
- 他のハイパーバイザーからの仮想マシン移行時のストレージオフロードサポート
本バージョンでは、Two-node OpenShift with arbiterと呼ばれる構成がサポートされるようになりました。
Kubernetesの世界ではクラスターの制御層(コントロールプレーン)のために3台のホストからなるetcdクラスターが必要です。
etcdは、Kubernetesクラスター全体の構成情報を含む重要な要素です。
3台のノードによりetcdを保護する理由は、ノード障害時のスプリットブレインの回避が目的*1です。
今回のアップデートでは、2台のノードと1台のスプリットブレイン回避用のノードを用意することで、より小規模なクラスターでもOpenShift環境を動かすことが可能となりました。

この構成は、VMwareのvSANというSoftware-Defined Storageにおいて登場した構成である2 node vSANと非常に近い考え方です。
上述の設計でも2つのワークロード用のノードと、スプリットブレイン回避用の小規模ノードで小さなクラスターを構成できる利点があります。
これらの2ノード+小規模ノード1台の構成は、OpenShift環境における最安値であるエディションのOpenShift Virtualization Engine(OVE)と組み合わせることで、より一層コンパクトのOpenShift Virtualization環境を作ることに一役買ってくれることになりそうです。
2つ目のアップデートであるARM対応のOpenShiftノードの対応により、新たなOpenShiftの選択肢が登場したと言えます。以下の動画よりデモが閲覧できます。
3つ目のアップデートとして解説をしたストレージオフロードを使用した仮想マシンの移行は、特定の物理ストレージの中にあるVMware vSphereの仮想マシンのvmdkファイルを同一筐体内にてOpenShift Virtualizationの仮想マシンデータに変換させる働きをします。
この機能は、vSphereにおけるVAAIやMicrosoftにおけるODXなどのストレージオフロード機能と同等であり、大量のデータ処理を当該ストレージ内で完結できることから、次の利点があります。
- データ移行の速度が高速である
- データの処理のための通信が筐体外に出ない(ネットワークへの負荷がない)
- データの処理のために、ホストのCPUリソースが節約される(仮想マシンのパフォーマンス低減リスクが減る)
v4.19 (リリース日 2025年06月17日) - UI刷新、多言語サポートによる安心の日本語対応
注目の機能は次の通りです
- シンプルな仮想マシン管理画面
- 英語以外の言語に対する強化された言語対応(スペイン語、フランス語、日本語、韓国語、中国語)
このバージョンでは、UI周りの強化が特徴的だと言えます。
VMware vSphereのような使用感に近づけるためには、やはり日本語化の対応やより直感的なUIを目指す必要があります。具体的なUIの様子については以下の記事に詳しい解説がありますのでぜひご覧ください。
v4.18 (リリース日 2025年02月25日) - 市場最安値!仮想マシンのためのOpenShift 新エディションが登場
注目の機能は次の通りです
- サーバ仮想化のためのOpenShift 『OpenShift Virtualization Engine』が登場
- 仮想マシンでのUser-defined tenant networkのサポート対応
- vTPM対応と最新のMicrosoft Windows OSへのサポート対応
この世代では、なんといっても最安値のOpenShiftエディションの登場により低価格でRed Hat OpenShift Virtualization構成が組めるようになりました。
これがOpenShift Virtualization Engineの価格です
— Yamato@Red Hat/Learning Solution Architect (@lab8010) November 29, 2025
(1ノード当たり30万円から)
※OpenShiftというRed Hat式Kubernetesの入門エディション
※4つあるオンプレミス向けエディションの中で、仮想マシン実行に振り切ったエディション
(次ポストに続く)https://t.co/lNFmXo9UI1 pic.twitter.com/QudFNvPl1N
現在のサーバ仮想化マーケットにおいて、ハイパーバイザーのライセンス/サブスクリプション金額はユーザーにとっても大きな関心事です。
Red Hatはそうしたユーザーの課題に対し、新しい低価格なエディションを提供することで、お客様の課題を解決ができるように働きかけています。
2つ目のUser-defined tenant networkですが、コンテナ向けに用意されているUser-defined Network(通称UDN)が仮想マシンにも対応しました、という内容です。
当該の機能については以下のスライドでも解説をしているのでぜひ参考にしてみてください。
また、これと同時にWindows 11のようなTPMが必要なOSのためにも、仮想マシンに対し仮想的なTPMを搭載可能ともしました。
v4.17 (リリース日 2024年10月01日) - 待望の仮想マシンのストレージマイグレーションが登場
注目の機能は次の通りです
- (TechPreview機能として)仮想マシンのためのStorage Live Migrationに対応
- メモリのHot-Add
- (TechPreview機能として)Deschedulerによる仮想マシン負荷分散のための再配置
この世代では、VMware vSphereでサポートされる幾つかの機能の登場が目立ちます。
特に、Storage vMotionに相当する仮想マシンのライブマイグレーション機能の登場やメモリのオーバーコミット、Hot-Add、これに加えてvSphere DRSを彷彿とさせるDeschedulerによる仮想マシンの負荷分散のための再配置機能は更なるOpenShift Virtualizationの競争力強化に繋がったと言えます。
v4.16 (リリース日 2024年06月27日) - パートナー製品との連携もしっかりアピール!
注目の機能は次の通りです
- (TechPreview機能として)メモリのオーバーコミット
- CPUのHot-Add
- OpenShift Data Foundation*2使用時における仮想マシンのためのMetro-DRのサポート
- OpenShift Virtualizationと連携可能な製品一覧サイトの登場
メモリ、CPU、DRなどはいずれもVMwareをはじめとする他のハイパーバイザーでもサポートされる機能ではあるが、個人的に注目したいのは以下のようなサイトが登場したことで、より一層Red Hat OpenShift Virtualizationが市場に存在する数々の製品と連携ができることが強調され出したことです。
私がお客様と対話をしていてよく尋ねられることの1つに『この製品(お客様がお持ちの製品)は、Red Hat OpenShift Virtualizationでも使えるんですか?』という一言です。
マーケットにおける製品の価格変化を受けて、他の仮想化製品からRed Hat OpenShift Virtualizationへの移行を見据える上での1つの判断材料として、『既存保有資産の利活用』は欠かせない視点です。
ただ単純に『今持っているを使うことでのコスト削減』だけに止まらず、『既存資産を活用すること=既存知識の活用』に繋がりますし、それ以外にも『お客様と当該ベンダーの関係の活用』にも繋がるからです。
お客様の目線に立てば、今までお付き合いのある製品やその企業の頼れる担当者もこれまで通り一緒になって自社のビジネス成長の支えになってくれると嬉しいですよね。
v4.15 (リリース日 2024年02月27日) - パブリッククラウド風な使い勝手に!
注目の機能は次の通りです
このアップデートで登場した『パブリッククラウドのようなビューからの仮想マシンの作成(インスタンス形式)』は、AWS EC2やMicrosoft Azure Virtual Machinesなどが提供する仮想マシンホスティングサービスでも使用されるインスタンス式による仮想マシン展開サイズの指定が可能となりました。
一言で言えば、パブリッククラウドのような使用感で使える仮想化基盤になったと言えます。
現在市場に存在する殆どのハイパーバイザーでは仮想マシンを作成する際に、こうしたカタログベースでの仮想マシンの展開はできません。
VMware by Broadcomに限って言えば、VMware Aria Automationが持つセルフサービス ポータル機能はこれに近いと言えます。
違いがあるとすれば、VMware Aria Automationの場合は次のような点です。
- VMware vSphereの標準機能ではなく、上記機能を使うためにはAria Automation実行のための専用仮想マシンを実行する必要がある
- VMwareのセルフサービスポータルでは、vSphereだけでなくパブリッククラウドなどの他のサービスもカタログに含めることができる
v4.14 (リリース日 2023年10月31日) - WindowsゲストOSのクラスターのサポート!
注目の機能は次の通りです
- ROSA/AWS上におけるOpenShift Virtualizationのサポート
- OpenShift VirtualizationにおけるHCP構成のサポート
- OpenShift Virtualization上のゲストOSとしてのWindows Serverによるクラスター構成のサポート
- OpenShift純正の仮想マシンインポート機能の強化(他のOpenShift、OpenStack、OVA形式のインポートのサポート)
この世代でユニークなアップデートは、ゲストOSとしてのWindows ServerによるWSFCの構成がサポートされたことです。
これについては、実はVMware vSphereでもサポートされている特性です。
VMware®vSphere® への WSFC の導入方法 - VMware by Broadcom
VMware vSphereには、vSphere HAやvSphere FTといった強力なハイパーバイザーレベルの高可用性のための機能が存在します。
もしRTO 0秒相当の可用性が必要な場合は、vSphere FTが適切な選択肢となりますがvSphere FTを利用する場合は利用上の制約があります。
Fault Tolerance の要件と制限 - VMware by Broadcom
この制約に依存しない形式で同等の高可用性を実現しようとする場合はゲストOSによるクラスタリングが必要となり、vSphereでもこれに対応しています。
Red Hat OpenShift Virtualizationでもこれと同じように、ゲストOSレベルのクラスタリングが必要な方に向けてWindows ServerとRHELのクラスタリングに対応しています。
なお、RHELを使用したゲストOSレベルのクラスターについては以下の記事でも紹介されているため、ご興味がある方はぜひご覧ください。
なお、ゲストOSレベルのクラスタリングに焦点を当てましたが、他のアップデートを見てみると、OpenSift Virtualizationの展開形式やインポート可能な仮想基盤の形式も増え、より一層拡張性が強化された世代とも言えます。
今後の本記事の更新予定
本記事投稿日である12月25日時点ではv4.14からv4.20までの掲載ですが、これ以降も他のバージョンの情報も掲示予定です。
OpenShift Virtualizationは、KVMやQEMU、Kubernetesなどの市場では幅広く使用されているテクノロジーの結集ではありますが、仮想化基盤製品としては比較的新しいものです。
そのため、既存のメジャーなハイパーバイザーと同等の使用感、機能を持っているのかどうか?という疑問は多くあります。
この記事を通じて、『お、OpenShift Virtualization、なかなかやるな』と思われるような驚きと発見、そして製品の魅力を伝えていけるよう更新を頑張っていこうと思います。