『Nikkor Zの安価な単焦点に銘品なし？』 ニコン NIKKOR Z DX 24mm f/1.7 ゆいぴょんさんのレビュー・評価

Z DX 24mm F2.0 至近距離	Lumix 20mm F1.7 同	Z DX 24mm F2.0 近距離
Lumix 20mm F1.7 同

Z DX 初めての単焦点レンズ。画角も価格も近いマイクロフォーサーズのLumix g 20mm F1.7 II と比較してみました。（実勢価格 3万円以下）

【外観・操作性など】
安価な単焦点レンズということで、例によってプラマウントです。鏡筒も当然プラですが、特段安っぽくもなく普通。ピントリングの操作性も良好です。
AFはスムーズ。この点は全群繰り出しのLumix 20mmより明らかに優れています。

【解像度】
基本的には、絞り開放付近では少々緩く、絞るにつれて改善するタイプです。遠景では絞り開放では周辺が緩く、きっちりした解像度を出すにはF4.0以上に絞りたい感じ。
同条件でLumix 20mmはF2.0から良好、F2.8でZ DX 24mmのF4.0以上の解像度が出ています。
近距離ではもっと差が付き、特に至近距離（撮影距離50cm以下）では、F1.7は中央も大分緩く、最低でもF2.0に絞りたい感じです。
同条件でLumix 20mmはF1.7から良好でした。
総じて、絞り開放付近では明らかに、F4.0以上でも若干、Lumix g 20mmの方が解像度は高いです。

【ボケ味】
ボケ味は良くもなく悪くもなく普通、Lumix 20mmと似ています。小さなボケの輪郭が少々強い感じで、小ボケが煩くなる可能性があります。軸上色収差も残っていて、後ボケに緑・シアンの縁取りが出る場合があります。
玉ボケ（中心部）はF2.0まではほぼ円形ですが、F2.8から角が出てしまいます。円形絞りとは呼べないようです。

【使い勝手】
Z50などのAPS-Cボディには手ブレ補正が無く、このレンズにも無いので、暗所での撮影は苦手です。また、現行ボディはシャッタースピードが最高1/4000sec（電子も同じ）なので、晴れの屋外でF2.0を使うのは少々厳しく、NDフィルターが欲しくなります。手ブレ補正があれば、NDフィルター付けっぱなしが可能ですが、それも出来ないので、使い勝手は悪いです。

【総論】
Nikkor Zの安価な単焦点レンズは、28mm F2.8、40mm F2.0（いずれもフルサイズ用）に続き3本目ですが、他の2本よりは性能は良好とは言え、褒められるようなものではありません。Z DX 18-140mmなどのズームレンズの出来が非常にいいので、手ブレ補正無しの単焦点で36000円であれば、もう少しキッチリした性能を期待したいところです。

※サンプルは、Z DX 24mmがF2.0、Lumix g 20mmをF1.7開放で近距離を撮影したもの。この条件の実写では、至近距離の解像度が少し違う以外は、かなり描写は似ていました。約15年前の設計の、より価格の安いレンズに対してアドバンテージが無いというのは、少々残念です。