私は85mmがポートレートを撮るには一番好きな焦点距離です。
しかし、一眼レフのFマウントの歴代の開放値F1.4のレンズは、開放で撮るとボケは良いものの、ピント面のシャープさが物足りなく、結局は少し絞って使うことになるので、むしろ機動力のあるF1.8のレンズを使っていました。
Zマウントになり、F1.8も使用していますが、ZマウントならF1.2であっても開放から使えるのではないかと期待して、このレンズを購入しました。
購入後、本来の使用目的であるポートレート撮影を数回行いましたが、結果は期待以上でした。ポートレート作品は、被写体の顔を出すことができないので、画像を掲載することはできませんが、絞り開放からピント面はしっかりピントが合い十分以上にシャープです。ボディは主にZ9を使用していますが、全身のショットをモデルを動かしながら撮影をしても、常に目にしっかりとピントが合い、ピンボケが理由で捨てるカットがほぼ無くなりました。
また、ボケ具合はFマウントの105mmF1.4Eと似ていて、とてもなめらかです。
丸ボケの口径食もF1.8で目立たず、F2.2になれば画面の四隅まで円形になります。
ピントを合わせたい面はシャープに描写し、素直で自然なボケが得られるこのレンズは、撮影用レンズとして理想に限りなく近いレンズです。いわゆるクセや個性は全くなく、蒸留水のような純度が極めて高い水のようなレンズです。
それだからこそ、使い手、撮り手の技量やセンスがそのまま写真や映像に反映されるレンズです。
ポートレートは、被写体の魅力を引き出すことが大切ですが、このレンズを使いこなせば今まで以上にそれが可能と思われます。
これまで私は、国内外のブランドの85mm~105mmの中望遠レンズを多数使用してきましたが、現時点ではこのレンズが最高の1本であると思います。