『現時点APS-C最高画素機種を使いこなす優越感』 富士フイルム FUJIFILM X-T5 ボディ [ブラック] kamelotさんのレビュー・評価

筆者は写真歴約28年。風景撮影を中心とし近年は野鳥撮影が中心。
メインの愛機はMINOLTA αSweet→MINOLTA α-9→Sony α57→FUJIFILM X-T1と使ってきました。FUJIFILMとは2014年に発売されたX-T1からの付き合い。X-T1は大変気に入って使っていた機種で現在も使用しているが、原点回帰機種となったT5がどうしても欲しくなり昨年発売日に予約をして購入。約半年使用してきたのでレビューしてみようと思います。

【デザイン】このデザインに惹かれて購入した人も多いはず。クラシカルなフォルムは惚れ惚れとする。T5は原点回帰機種となりT1のようなコンパクトボディになった。

【画質】画質はレンズや撮影環境、撮影条件にも影響されるので一概に判断は難しいがガチッと嵌った時に現れる高画素特有の極めて高精細な画質は現行APS-C機の中では随一と言っても良いのではないだろうか。高画質を楽しむためには低ISOでブレのない撮影が一番だが毎回そのような条件で撮影できるとは限らない。ただ最近は写真編集ソフトによるAIノイズ除去性能も上がっている事から高ISOによる撮影条件の悪化にる画質低下は後からもリカバリーができる環境にある。
感覚的にはISO1600くらいまでであればJPEG撮って出しでも満足できる画でる。だがそれ以上の高ISO条件での撮影ではカメラ内のノイズリダクションかける事でだいぶ軽減できるが写真全体がのっぺりとしてしまうためかけすぎは禁物。できればRAW撮影し後に現像ソフト等でAIノイズ修正をかける事で実用的なレベルの写真に仕上げられる。感覚的にはISO12800くらいまでは使用できそう。

【操作性】T1からの移行なのでそれほど操作感には違和感はない。ただT1に比べ設定できる項目が圧倒的に増えたため色、画質やAF追従性などを自分の好みに細かく設定できる。カスタム登録をうまく使いこなすのがポイント。

【バッテリー】T1からバッテリー容量が上がったので使用時間はかなり伸びた。電池の消費速度もある程度設定でコントロールできる。ただし筆者はAFをフルブースト設定で使用しながら連写するためあっという間に電池残量が減っていく。なので電池は1日の撮影においては２個体制で毎回撮影に臨んでいる。旅行のスナップ等通常の撮影においては十分な容量がある。

【携帯性】携帯性はT1とほぼ変わらないくらいコンパクトで携帯性は問題ない。ただし超望遠系の重いレンズを付けると当然だがバランスが悪くなる。野鳥撮影がメインである超望遠系のレンズ中心の撮影であれば全体のバランスやホールド感を考えるとH2又はH2Sのほうがよいと思う。広角〜望遠（300mm）くらいが中心であればT5のほうが楽に取り廻せると思います。

【機能性】T1に比べ圧倒的に機能が増えたT5。それぞれの機能小レビューします。

・手振れ補正　5軸補正で最高7段の補正が可能です。やはりボディ内手振れ補正はあったほうがいいと思います。不要であれば機能オフにすればいいので。

・被写体検出機能　筆者は野鳥撮影がメインなので主に鳥検出モードを使用。レンズはXF150-600mm使用で思っている以上に鳥を検出してくれる。ただし望遠側では撮影条件により検出しずらい傾向がありその場合は少し広角側ズームする工夫が必要。鳥の目も検出してくれるのは便利だがなにせ相手はちょこちょこ動き回る被写体なためガチピンで撮るには連写が必須。歩留まりはそれほど良いとは思えないがこの辺りの機能向上はファーウエアのアップデート等でさらなる進化を期待したい。※最近ファームウエアがVer2にアップデートし以前に比べ被写体検出機能が向上しました。実感としても向上した感覚があり今後もさらなる向上を期待したい。

・フィルムシミュレーションモード　多彩なフィルムシミュレーションモードがありJPEG撮って出しで簡単に雰囲気のある写真が撮れる。
ここに様々な調整を加えてオリジナルなレシピを考えてもよいし、レシピ紹介サイトを参考に自由に好みの色調の写真が撮れるのは素晴らしい。

【液晶】背面液晶は十分綺麗。EVF液晶はできればH2と同等の576万ドットにして欲しかったが、比較したわけではないのでなんとも言えないが個人的には369万ドットで問題があるようには見えない。この辺りはを重視する人はH2又はH2Sのほうがいいだろう。

【ホールド感】小型のレンズとの相性はバツグンで見た目も良いのでこのカメラには合うのはやはりコンパクトなレンズだと思う。超望遠レンズである150-600mm等を付けるとカメラにレンズが付いているというよりはレンズにカメラが付いている感覚になる。自分がどの焦点距離のレンズを中心に使うのか吟味し超望遠撮影が中心であればH2、H2Sのほうが良いと思いますがコンパクトなレンズとT5のルックスに惚れたのであればこの機種を選べばいい。最終的には好みの問題。

【総評】T5は現時点のFUJIFILMの技術力の集大成であり、APS-C現行機種では最高画素を誇るカメラ。ここまでの画素数が必要かどうかはいろいろ意見があるとは思うがこの高画素ゆえの繊細な画像を見れば納得できるであろう。高画素であるメリットは画質の繊細さの他トリミング耐性が高い事。特に野鳥撮影についてはトリミングをする事がほとんどなので画素数が高いほど有利だ。ただそれと引き換えに高画素APS-C機の宿命である高ISO撮影でカメラのみの機能で満足いく結果に持っていくのは難しい。写真編集ソフトによる調整は必須であろう。
このカメラのメリットはルックス、コンパクト、そしてフルサイズに負けない高画質。そして何よりFUJIFILMのカメラを使用している特別感が味わえる。野鳥撮影に関してはデザインに色気はないが上位バージョンであるH2や動体撮影向きのH2Sのうほうが良いと思うがアマチュアである筆者は自分の好きなカメラで野鳥を撮影をする事に充実感を感じる。

サンプル
コジュリン、ツバメ、ビンズイはRAW撮影後Lightroom AIノイズ除去、現像
ホオジロ、シロハラ、アカハラはJPEG撮って出し（カメラ内現像）