このレンズのレビューを書いていなかったとは、我ながらうっかりしていた。
しばらく前に購入して愛用していた。最近は外出の機会が減り撮影の機会を失っていたが、実に最高なレンズである。
最高な理由は、そこそこの値段で、圧倒的なレンジで、その割に軽くて、そして黒いということである。
一時は圧倒的人気で品薄だったほどだが、まず13万円程度というのがよい。
サードパーティはだいたいこのあたりの価格帯だが、高すぎて手が出ないとか、性能は低いけど安いからこちらを……という悩みを持つ必要がない。
次にレンジである。なんといっても50mmスタートというのがすごい。ふつうは100-400である。100と50mmでは全く違う。50mmあれば汎用的に使うことも可能である。この便利さがすごい。
そして軽い。
比較対象の100400GMは1.4キロだが、こちらは1.1キロである。
画質やf値の差があるのは確かだが、こちらの方が安く、そして広角端50mmものアドバンテージがある。
スペック上これに肉薄するのはシグマの60-600で、こちらの400mmがf6.3なのに、あちらは600mmでf6.3なのはすごいのだが、そのかわり2.4キロ。純正200-600よりも重い。
もちろん60-600もカバーレンジは凄いのだが、値段も高いし重すぎるしで、実は極端に用途が制限されている。望遠で動物撮影をするのだが、近づいてきた動物もなんとか押さえたい、というようなシチュエーションでしか効かないのではないか。まあその場合は200600や100400では長すぎるだろうから、そういうエアポケットをすぽっと埋めるスペックではあるのかもしれない。だがまあ明確にでかすぎるしあまりにもニッチすぎるので、常人には使えそうにない。
50-400は1.1キロだから、70-200のf2.8とほぼ同等の重量であり、日常的に使用可能である。
私がこのレンズを使うのは、サブとしてはちょっとした物撮りやなんちゃってマクロで、望遠をいかしてポートレートも撮ることができるが、なんといっても威力を発揮するのは市街の望遠スナップである。
28-200でもある程度そういう感触は味わえるが、400mmまで伸びると日常の風景を全く違う形で切り取ることができる。
この新鮮さには物凄いものがある。
しかし、外を歩きながら撮影するにあたっては、1キロ以上のレンズはそもそもゴツくて怪しすぎる。
何よりもダメなのは白レンズであることで、白いカラーリングを高級感として嬉しがっている人もいるのだろうが、これはもう目立ちすぎる。恥ずかしい。やばい。スポーツのオフィシャルカメラマンでもなければこんなのは持っていられない。
ということは70-200の大半のレンズもダメなのであって、そこにきてタムロンは環境に馴染むブラックをしっかり貫いていて最高だ。
そもそもカメラは概ね黒いのになぜ白いレンズをつけねばならんのか。
もちろん単純に望遠という点では200600が現実的選択肢の中では一番長いし、私も仕事等で愛用しているのだが、これは日常で外に持ち出して使うようなレンズではない。
その微妙なスポットにハマったのがこの50400であり、400mmのインパクトは間違いなく普段のスナップ撮影体験を劇的に変えてくれる。
しかも50から400の間を選択して撮影することができるのである。
GRを持ち歩いて撮影することと、50400で撮影することの間には撮影体験の完全な違いがある。
そんな新鮮さを実現してくれるからこそ、このレンズは素晴らしいと思う。