【デザイン】
CanonのAPS-Cミラーレスとして、非常にバランスの取れた外観に仕上がっている。ボディは約429gと軽量ながら、上位機種のEOS R6やR5を彷彿とさせるデザインラインを踏襲しており、安っぽさを感じさせない。マットな質感のボディとしっかりとしたグリップの造形が好印象だ。ただし、プラスチック主体のボディ素材は、SONYのα6700やNikon Z50IIと比較するとやや物足りなさを感じる部分もある。カラーバリエーションは黒のみだが、ビジネスシーンでも使いやすいシックな外観は評価できる。
【画質】
2420万画素のAPS-C CMOSセンサーにDIGIC Xプロセッサーの組み合わせは、このクラスとしては十分な画質を提供してくれる。日中の屋外撮影ではダイナミックレンジも広く、RAW現像時の階調の豊かさに驚かされた。一方で、ISO6400を超えるあたりからノイズが目立ち始める。暗所性能についてはフルサイズ機と比べてしまうと厳しい部分があるが、ISO3200程度までなら十分に実用的だ。RF-S18-150mmレンズとの組み合わせでは、広角から望遠まで幅広いシーンに対応でき、旅行や日常スナップには最適な画角をカバーしている。
【操作性】
メニュー構成はCanonらしく直感的で、一眼レフからの移行組でも迷うことが少ない。カスタマイズ可能なボタンも豊富で、C1・C2モードの搭載も嬉しいポイントだ。マルチコントローラーが省略されている点は上位機と比較してやや不便に感じるが、タッチパネルとの併用で十分にカバーできる。EVFは約236万ドットで119.88fpsのリフレッシュレートに対応しており、動く被写体を追う際も滑らかな表示が得られる。
【バッテリー】
LP-E17バッテリーの持ちは正直なところ物足りない。CIPA基準で約260枚とされているが、実際の使用ではこまめな電源管理が必要になる。一日中の撮影には予備バッテリーが必須だ。ただし、USB-Cでの給電に対応しているため、モバイルバッテリーを接続しながらの撮影も可能で、この点は大きな救いとなっている。α6700と比較するとバッテリー持ちでは明確に劣る点は留意が必要だ。
【携帯性】
ボディ約429g、18-150mmレンズとの組み合わせでも約739gと、一日中持ち歩いてもストレスを感じない重さだ。2022年の発売以来、日本国内のBCNランキングで常にトップクラスの売上を維持しているのも、この携帯性の高さが大きな要因だろう。旅行用カメラとしては理想的なサイズ感で、標高3000m級の登山やストリートスナップなど、あらゆるシーンで気軽に持ち出せる。コンパクトながら確かなグリップ感を持ち、長時間携行でも疲れにくい。
【機能性】
最大の魅力はEOS R3譲りのAF性能だ。デュアルピクセルCMOS AF IIは、人物・動物・車両の被写体検出に対応しており、瞳AFの精度は価格帯を超えた水準にある。連写性能もメカシャッターで最大15fps、電子シャッターで最大23fpsと、野鳥やスポーツ撮影にも十分対応できる。4K30pは6K超サンプリングによる無裁切で高精細な映像が得られるが、4K60p撮影時にはクロップがかかる点は留意が必要だ。また、ボディ内手ブレ補正が非搭載である点は、動画撮影を重視するユーザーにとっては悩ましいポイントとなる。
【液晶】
3.0型約104万ドットのバリアングル液晶は、自撮りやローアングル撮影に便利だ。タッチ操作の反応も良好で、メニュー操作やAFポイントの移動もスムーズに行える。ただし、解像度としてはやや平凡で、屋外の強い日差しの下では視認性がやや低下する場面もあった。動画撮影時にバリアングルの利便性は非常に高く、この点でEOS R50よりも優位に立つ。
【ホールド感】
コンパクトなボディながら、グリップの深さは上位機に迫る水準で、小型ながらしっかりと握れる安心感がある。手の大きい方には若干窮屈に感じるかもしれないが、平均的な手のサイズであれば非常に良好なフィット感だ。18-150mmレンズとのバランスも良く、長時間の撮影でも手首への負担は少ない。
【総評】
EOS R10は、Canonが上位機の技術を惜しみなく投入したAPS-Cミラーレスの秀作だ。高速AF・高速連写・優れた携帯性という三拍子が揃い、初めてのミラーレス一眼としても、EOS Kissシリーズからのステップアップ機としても、サブ機としても高い満足度が得られる。バッテリー持ちやボディ内手ブレ補正の非搭載など弱点もあるが、約15万円台というレンズキットの価格を考えれば十分なコストパフォーマンスだ。迷っているなら、まず手に取ってほしい一台だ。RF-Sレンズシステムの豊富な拡張性も魅力の一つで、マクロや単焦点など、撮影の幅を広げるレンズラインナップが着実に充実している。EOS R10のボディは将来的な買い替えを考慮してもRFマウントの資産が無駄にならない点も長期的な視点で評価できる。動画機能においては映像LogやHDR PQへの対応も完備されており、クリエイターや動画ブロガーにとっても兇分な機能が揃っている。