『画素数以外はR5を凌駕。R1への確かなつなぎとなるカメラ』 CANON EOS R3 ボディ kosuke_chiさんのレビュー・評価

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先ずはファースト・インプレッションです。（スチルカメラとして）
2400万画素クラスでは、現時点で間違いなくNO.1カメラだと思います。

ただ、このタイプのカメラで撮るシーン（望遠＆連写）では正直画素数が少ないと感じることが私の場合は多いです。フィールド・スポーツ撮影や小鳥の飛翔を撮影するには2400万画素ではトリミング耐性が乏しいと感じます。

しかしながら、2400万画素でも十分な近距離での動体撮影においてはCANONミラーレス機ではR3以外の選択は無いと感じます。R5のAF能力では近距離で動き回る動体を捕捉できず、またそんなに近距離でなくても被写体認識で速く動くものを狙う場合、認識はするものの処理速度が追い付かずAFが追随しないこと、またEVFの遅延もあって動きもの撮影に課題がありましたがR3はこれらを改善しました。

また、旅行や日常的な使用においては必ずしも高画素機が必要という訳ではなく2400万画素でも十分なことが多いので、普段使いでも汎用的に使えるようなR5の大きさで開発してもらいたかったところはあります。しかし縦グリ一体型でもコンパクトにはなっているので旅行や日常的にも持ち歩いて使えそうです。ただし、カメラバッグは少し大き目が必要ですね。

良くなったと感じる点は、主にR5と比べてですが、電子シャッターまわりが多いです。
１．電子シャッターで連写速度が変更可
　R5は20コマ以外の選択肢は無く、静音のために電子シャッターを使うと必要なくても同じような写真を量産してしまいますが、R3では３パターンから選択できるようになりました。
２．電子シャッターで音が出る
　R5は静音のみでしたが、音が必要な時もあります。
３．電子シャッター時のEVF
　R5は電子シャッター時、レックビューによる遅延だけでなく表示の挙動がおかしく、実際の動きとの差を考慮して撮影する必要がありましたが、遅延を感じさせないブラックアウトフリーとなりました。
４．電子シャッターでフラッシュが使える
　電子シャッターをデフォルトで使うため、メカシャッターへの切り替えなしで使えるのは便利です。

５．視線入力
　R5でもこれが無いと写真が撮れないというシーンは記憶にありませんが、構図を変えることなくAFを素早く切り替えるということは可能です。ただしスポーツ写真ではメインの被写体を中心に大きく撮ることがほとんどなので、この視線入力の恩恵を感じるシーンは果たしてあるかどうか・・。
　キヤノン銀座で試した時は、裸眼は良いが眼鏡（遠近両用）は全くダメでしたが、じっくりキャリブレーションすると遠近両用眼鏡でも裸眼と同様に使えました。ポインターがチラチラ動いて目障りなので、非表示としています。

６．AF
　これは大きく改善されたと実感します。R5では、近い距離で速く動くものについては、α１/α9のようにはいきませんでした。R3では、処理速度を含めてAF全般が進歩していると実感します。ミラーレス機のAF性能はセンサーの読み出し速度に比例するのではと感じています。

７．トラッキング
　R5では全域AFから「顔＋追尾優先AFモード」にする必要がありましたが、R3では全てのAFモードから被写体検出＆トラッキングができるようになり、SONYやZ9と同じになり実に使い勝手が良くなりました。

８．バッテリーグリップ一体
　これはプラスにもマイナスにもなるのですが、望遠レンズで撮ったり、イベント撮影では常にR5にバッテリーグリップを付けていたので、一体型はむしろコンパクトに感じます。一方、日常的に使う場合は取り外すことができませんので、大きなカメラバッグが必要になります。
気になるのはややグリップが浅いこと。特に縦グリップが浅く、薬指の爪が当たるため直ぐにラバーが剥がれてしまう感じなので保護ラバーを貼りました。R5はハーフボディケースを付けられますので結果的に深いグリップになっています。

９．背面液晶
　チルト液晶であれば、胸位置、腹部位置で撮る時ワンアクションでフリップできるところ、バリアングルモニターでは１枚撮るために数アクションしないといけないというのはあります。ただしそこは耐えるとして、モニター画面を引き出すアクションがR5よりも難儀で二本の指でつまんで引き出す必要があり、しかも大きなアイカップが邪魔をしてよいしょとする感じで、突然のシャッターチャンスを見つけて胸位置で撮る際は時間がかかります。
　液晶保護ガラスはR3のものが本体発売日までに間に合いませんでしたので、R5のもの（GRAMAS）を付けました。液晶も表示パネルも全く同じサイズなので流用できました。

１０．画質（解像感）
　公式サイトの「画素数で上回るEOS 5D Mark IVをしのぐ解像性能を実現」とはどんなことかと思っていたのですが、R5等CANONの等倍画質はローパスフィルターの影響もあってか線が太くパンチの効いた絵で、ぱっと見は良いのですが、風景写真をよく見ると解像感が他社機より低く、少し画像を縮小してクッキリ・シャープになるというものでした。しかしR3では、絵作りが変わり線が細くディテールが細かく表現できている感じがします。（ここはもう少し検証してみます）


R3は総じて画素数以外はR5の欠点をクリアしたものになっていて使いやすくなりました。しかし動体撮影以外ではR5が軽量コンパクトであること、また動体撮影でもトリミングが必要な場合はやはり高画素のR5の出番となり、旅行や日常の持ち歩きでは決してR3を使わないというアマチュアの人にとっては、コスパはあまり良くないカメラかもしれません。R1がR3の大きさで高画素で登場するなら万能機として出番の多いカメラとなりそうです。R3で大きく気になる点は特にないですが、唯一満足度が下がるとしたらプライシングです。アマチュア機の位置づけとするなら高すぎます。

とは言え、現行Canonの実質フラグシップ機。AFと画質の向上は大きく評価したく、2400万画素クラスでは、現時点で間違いなくNO.1カメラだと思います。