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ペコちゃん(X-S10) |
ペコちゃん(GRIIIx) |
ペコちゃん(Z6II) |
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紫色シャツ(X-S10) |
紫色シャツ(GRIIIx) |
紫色シャツ(Z6II) |
本機(X-S10)を借用する機会があったので試用としてレビューします。
使用レンズは、XF35mm F1.4 R
所有する他社カメラの撮影画質と比較してみました。(添付画像参照)
・RICOH/GRIIIx(レンズ固定)
・NIKON/Z6II(NIKOOR Z MC 50mm/F2.8装着)
<気づいた点>
●設定メニューが独特で戸惑う
画質設定などを変えるためにメニュー操作をしようとしたとき、他社カメラに比べ各種設定メニューが構成/階層/項目名などが独特で、本機ほど戸惑いを感じたのは初めてでした。
例えば、
カラー/トーンカーブ/シャープネス/明瞭度などはフィルムシミュレーションの種類ごとに設定できると思っていましたが、上位階層の共通設定になっている。
高感度NR(ノイズリダクション)の設定は、弱/中/強といった単純さではなく、−4〜+4の9段階でマイナス方向の設定がある仕様の目的/概念が不明でどう使いこなすのか理解できない。
等々。
●解像感
他2モデルに比べて若干解像力が劣る?
添付画像のペコちゃんの顔を画像データ等倍(100%)から200%くらいに拡大表示してみるとその違いがわかりやすいです。
GRIIIxやZ6IIでは目/鼻/口/飛び出た舌などのパーツがクッキリしているのに対して、本機ではそれらパーツがややモヤっとボヤけていて、目や口の黒色に締まりがないのがわかると思います。
本機の設定でシャープネスや明瞭度を上げてもほとんど改善されません。
センサー画素数上げ画素密度が高くなると、光学的な回折現象や錯乱が隣接する画素に影響して鮮明度が低下する傾向がありそうです。
高画素化(APS-Cで26M画素はやり過ぎ?)による弊害が生じているのではないでしょうか?
●高感度ノイズレベル
添付画像(ペコちゃん)はどれもISO感度:2000で撮影したものです。
ペコちゃんの顔に着目すると、Z6IIでは全体的にノイズ感は少なく肌荒れの無いツヤツヤした滑らかな質感が再現できている感じですが、本機とRICOH/GRIIIxは暗部のノイズ感でやや肌荒れしているように見えます。
画素数がもっと少なければZ6II並みのノイズレベルになったでしょう(後述参照)。
●紫色の再現性
添付画像のシャツの色ですが、肉眼による現物の色は紫色です。
RICOH/GRIIIxが一番見た目に忠実な色再現しています。
本機とZ6IIは紫色というより青色に近いです。
デジカメはその仕組み上から元々紫色の再現が苦手のはずですから、紫色の被写体において製品ごとのカメラの色再現性に違いが一番現れやすく、個性の一つとみなした方がいいかもしれません。
<以降は昨今のデジカメに対する私見>
■センサー画素数について
一般的に写真鑑賞で利用されるテレビやPC用モニターの解像度は4K(3840X2160=約8M画素)またはフルHD(2K)だと思います。
ところが、スマホを含めた現行のデジカメの画素数はそれらモニターの解像度を遥かに上回る20M画素以上となっています。
モニターに対してオーバースペック(過剰品質)であり、写真画像全体を普通に鑑賞する日常においては現行カメラの画素数は必要ないと考えます。
また画素数を抑えればデータサイズも小さくなり何かと都合がいいはずです。
■高感度ノイズについて
世間では高感度ノイズはセンサーユニットのサイズが大きいほどノイズが少ないという風潮がありますが、
センサーで発生するノイズはセンサー感度が一定であればノイズ量もほぼ一定であるのに対して、センサーがレンズから受光する光量は被写体の明るさに応じて変化します。
その光量が少なければセンサーの感度を上げて出力される画像の見た目の明るさ(露出度)を保持しようとするわけですが、感度を上げることでノイズ量も上がってしまいます。
逆に言うと、ノイズ量を下げるにはセンサーの受光量を上げる必要があるのですが、その受光量を上げる手段としてセンサー感度ではなく、センサーの中の1つ1つの画素のサイズ(占有面積)を大きくすることでも受光量を上げることができ、受光量とノイズ量との比(S/N比)を高くすることができます。
・同じ画素数ならセンサーユニットサイズが大きいほどS/N比が高い
・同じセンサーユニットサイズなら画素数が少ない方がS/N比が高い
言い換えれば、センサーの画素ピッチが大きい(画素密度が小さい)方がノイズを抑え高感度画質が良くなると言えます。
小さなセンサーユニットサイズでも画素数を少なくすれば、解像度的に不利になるかもしれないが、高感度画質は良くなるということです。
前述のモニター解像度のことを考えれば、現行カメラの画素数を落としても鑑賞時の解像感が劣るとは思えません。
■ボケ量/被写界深度について
世間ではセンサーユニットのサイズが大きいほど画像がボケやすいという風潮がありますが、
例えば、
センサーサイズが異なる2つのカメラに、画角が同じになるような焦点距離が異なる(フルサイズカメラには50mm、APS-Cサイズカメラには35mm)レンズを装着して撮影した場合、
APS-Cサイズカメラの方の撮影画像は、35mmの広角レンズを通した画像を撮影時に50mm相当の狭い画角(撮影範囲)にクロップ(トリミング)処理をした画像と等価なわけです。
つまり、2つのカメラの撮影画像の見た目の画角は同じになりますが、ボケ量/被写界深度は使用したレンズの焦点距離に応じたものになり、焦点距離が長いレンズを使用したカメラ(フルサイズ)の方が必然的に撮影画像のボケは大きく被写界深度は浅くなるわけで、風潮にあるセンサーサイズが大きいほど画像がボケやすいというのは、あくまでも画角は同じという前提の話だと言えます。
センサーサイズが異なる2つのカメラに、ある一つのレンズ(焦点距離50mm)を装着して撮影した場合、
フルサイズカメラの方はそのまま標準画角の撮影画像になり、APS-Cサイズカメラの方は焦点距離75mm相当の望遠画角の撮影画像になったとしも、ボケ量/被写界深度までもが望遠レンズのレベルになるわけでなく、使用レンズの焦点距離に応じたレベルになるはずです。