『誰でもは使えないカメラだから使っていて楽しい』 富士フイルム FUJIFILM X-Pro3 ボディ [DRブラック] ルミニオンさんのレビュー・評価

【デザイン】
goodです。
カメラ正面にロゴがないのがスマートだなと思っています。
DRコート部分に皮脂が乗る感じも、企画開発の上野さんが「スパルタン」という表現をされていましたが、まさにそれだなと思います。
時間経過を感じさせるようなミリタリーさがかっこいい。
時にはそれを磨く時間もスパルタンで心地よいかと。笑

【画質】
やはりフジのフィルムシミュレーションはいいですね。
以前はRAWでネガ風に調整していましたが、フジに変えてからは撮って出しでいいものを出してくれます。
自分はクラシックネガにハマっています。（拙い作例ですが、どれもクラシックネガです）
ACROSで撮るモノクロもいい感じ
また、トーンやカラーバランスなど自分でカスタムできるのも楽しい。
なかなか外出する機会も少なくなりましたが、そんな日には自宅で同じ写真に色々なシミュレーションを当て変えて、どの状況にはどれが自分のベストかを模索して設定を作り込むこともできます。

【操作性】
撮影においてはこれまでにニコンのNewFM２を使っていたので、特に不便はありません。
レンズでの絞り、ダイヤル式のシャッタースピード、ISO調整はフィルム機と同様です。
サクサク行きたい時はAモードで。
便利さ、軽快さを求めるユーザーには向かないと思います。

【バッテリー】
保ちはよくないですね。まぁ、ミラーレス機はこんなものだと割り切っているので不満はそれほどありません。
撮影枚数にもよりますが、OVFのみ使用すれば１日保つかなぁくらい。
予備があれば安心、USB給電式ですので移動中にモバイルバッテリー等で充電するといいかもしれません。

【携帯性】
コンパクト、とまではいきませんが、フラットなボディなので、薄いレンズを付ければカバンの隙間にスッと入れられます。
重さはズシっとあります。

【機能性】
機能性についても特に不満ありません。
手振れ補正はついていませんので、正しい構えで自分の呼吸を操ってください。笑
AFについても自分の撮影スタイル（スナップ）にはあまり気にならないので。
レンズによるところもあると思います。
暗所でのAFは優秀かと思います。
あ、このカメラに限らずですが、フジはアプリを使用したスマホへの転送は時間がかかるので、もっとサクサクできたら言うことなしです。

【液晶】
背面液晶については見えないことがいい。というカメラなので、それをどう思うかですね。
まぁ、このカメラを買う方はそれ込みだとは思いますが、カメラの見た目だけで買うと後悔はしますのでよく考えてください。
EVFの方は可もなく不可もなくでしょうか。少し色味が残念かなとは思います。
LCDは綺麗だと思います。

【ホールド感】
これも特に気になりません。
グリップは浅めではありますが、滑りやすいというわけでもないです。
不安な方はグリップを付けてください。（無骨なカメラなので、そういうカスタムも面白さかも）

【総評】
「このカメラは万人受けするカメラではなく、大勢のユーザーの中のごく少数のためのカメラである」
と、富士フイルム企画開発担当の上野さん自身が公言されていました。
この言葉が自分には最後の背中押しとなり2021年の今、購入に至りました。
AFの速さ、顔認識、瞳認識、動物認識、手振れ補正数段、ISO拡張等々性能についてインフレしているカメラ業界ですが、その中で、あえて「みんなには使いにくいカメラ」を作ってしまう企業の懐深さというか、遊び心は素敵だなと思います。
カメラに撮ってもらうではなく、カメラを操って撮る。
これが非常に大切で、その時間がとても素敵なんです。

余裕のある時はISO固定、Mモードで、撮影後表示なし、OVFでじっくりと撮影してみてください。
家に帰ってから背面液晶を開いてPLAYボタンを押す。
フイルム機と同じ体験がこのカメラでできます。

ミラーレス機では結果を見てシャッターを切るので失敗もなく、大成功もないのが常ですし、もちろんこのカメラもEVFで追い込みながら撮影していくデジタル機の良さも味わえます。

それでも時々、OVFを使って今の結果は気にせず次の被写体を探し回って撮影に集中する、後から結果を見て、失敗も大成功もある。この時間の質と出てくる画の幅の楽しみと大成功に出会える感動を味わえる使い方をしてみる。
そんな楽しみと感動体験ができる素敵なカメラです。