■はじめに
XBA-A3、XBA-Z5、IER-Z1Rを所有しておりますので、比較しながらのレビューになります。
■利用環境
・接続経路:PC(USB) → S.M.S.L M500 → P-750ul(バランス出力) → イヤホン
:PS4(S/PDIF) → S.M.S.L M500 → P-750ul(バランス出力) → イヤホン
:AK100Mk2 + GLOVE-AUDIO-A1(バランス出力) → イヤホン
・音楽プレイヤー:JRiver Media Center27(DoP出力)
・音楽鑑賞:CD(JRiverでDSD11.2KHzでリッピング)、AmazonMusic(HD, ULTRA HD)
・動画鑑賞:PCでBle-ray、DVD、YOUTUBE・等
・ゲームプレイ:PC、 PS4
■エージング必須(おおよそ200時間以上は必要)
本機に限ったことではないですが慣らしは必須と感じます。
A3,Z5の時も感じましたが、購入開封時の印象より、エージング経過後の印象の方が明らかにショップ試聴時の良好な状態に近くなる、という感じでした。
もうちょっと詳しく説明しますと、複数ショップで視聴すると同一製品であるにも関わらず、「うぉ!これはすごいぞ!素晴らしい!」っていう感覚と「あれっ。。こんなんだったっけ?なんか物足りない」という感覚の時もあるのですが、エージングしていくと「うぉ!これはすごいぞ!素晴らしい!」の状況に変化していくわけです。
IER-Z1Rについても同様にエージングによって明らかに良い音色になっております。
たぶんですが早期に売却してしまう方はエージング前の状態で判断し売却してしまったのではないでしょうか。
発売時期早々のレビューは、エージング未完了の本機の評価をしているかもしれません。しっかりとエージングされていれば少なくとも低音域の出方がZ5より少ないという評価になりえないはずです。
私の場合、購入後は気のすむまでじっくりと満足出来るまで、あれこれ試行錯誤を延々と繰り返すので結果的に良い方向(自分の望む結果)へセッティングも含めて向かった結果なのかもしれませんが…
※所有している全ての製品(A3, Z5, Z1R)に対しても長時間の試行錯誤と比較を繰り返すので、確度の高い比較結果が得れたと感じています。
エージング前
【高音】優秀だが価格を考慮すると物足りなさを感じます
【中音】優秀だが価格を考慮すると物足りなさを感じます
【低音】Z5よりも少ないが、高音中音のバランスを考えるとこれはこれで優秀だが、しかし、物足りなさを感じます
【総評】決して悪くないがソニーサイトのキャッチコピー「空気感までも描き尽くす高音質。ソニー最高峰インイヤー」とは思えない
エージング後
【高音】ナチュラル、且つ、ウルトラスムーズ。しかし、ノイズ交じりの音源である場合も、恐ろしく正確にトレーする両刃の剣へと昇華
【中音】圧倒的な表現能力の要的な中温域へと昇華
【低音】地の底から湧き上がるような地響きする超低音域までをも再現する低音域へ昇華
【総評】まさに「空気感までも描き尽くす高音質。ソニー最高峰インイヤー」として、その本質が目覚めることで、オーディオ機器&音源の環境を整えれば整える程、そのレベルに追従する潜在能力の高さを思い知らされました。それでも、まだ、まだ、Z1Rの限界は更に上にあると感じます。但し!低音質な音源・低音質なオーディオ機器に繋いだ場合は、質の低さを曝け出すことになりますが、それはZ1Rの能力が低いのではなく運用環境の質の低さであると理解し、環境改善していく必要があります。
■デザイン
見た目に美しく、とても高級感があり満足感があります。
■バランス接続とアンバランス接続について
アンバランス接続はバランス接続よりも中低音域が多め、且つ、解像度が若干ボヤケます。
しかしそもそものポテンシャルが高いので本品のバランス接続を体験していないのであれば何の不満も感じないでしょう。
バランス接続にすることで音域配分はナチュラルなまま、超高解像度な高音、表現力豊かな中音、地の底から湧き上がるような低音を楽しむことが出来るでしょう。
■フィット感
先ず初めに特筆すべきは標準装備のケーブルの取り回しの良さです。私の耳へのフィット感は抜群に良いです。
加えて本品の形状が私の耳と相性が良いのか、装着後の収まりもとても良いです。
イヤーチップは極力、耳穴へ密着できるよう可能な限り大き目なサイズを選定することで本品のポテンシャルを余すことなく発揮できるでしょう。
■外音遮断性
より耳へフィットさせるために可能な限り大きなイヤーチップを選択し圧着すれば、Shureなみの高遮音性を発揮します。
■音漏れ防止
客観的レビューが出来ないので無評価とさせていただきます。
■携帯性
大きさはXBAシリーズと比較して若干大き目ですが、重量ははるかに重いです。
携帯性は良いとは思いませんが、所詮イヤホンですのでどのイヤホンでも同じようなものではないでしょうか。
■リケーブルについて
標準のケーブルがフィット感・音質ともに優秀です。
現時点では、本品の良好なフィット感・利便性・音質を捨ててまでリケーブルするメリットが見当たりません。
■総評
圧倒的な表現能力を備えた超高性能な本体に加え、付属ケーブルはフィット感・音質ともに高レベルでまとまっており非常に優秀ですので非常にコスパが高いと評価できると思います。
何も考えずに最初にこれを購入し、余裕が出来たときに、よりサンプリングレートの高い音源、より高性能なDAC、アンプと、どんどんグレードアップしていっても本品は付属ケーブルさえ変える必要もない完全ノーマル状態で余裕で鳴らしきる懐の深さがあります。
音楽鑑賞、動画鑑賞、ゲームプレイ、何に対しても本機の適正は高いと感じます。IEMで、ソニーサウンドを、音楽鑑賞、映画鑑賞、ゲームプレイできる環境はこれ以上のものは存在しないのですから当然でしょう。
Z5以上に鋭敏な本機をリファレンスとして再生環境を再構築していく楽しさは格別なものではないでしょうか