『今さらの…再レビュー』 カールツァイス Batis 2/40 CF 20150920さんのレビュー・評価

?Ver.01 f2.0	?Ver.02 f2.0	?Ver.02 f2.2
?Ver.02 f2.5	?Ver.02 f2.8	?Ver.02 f3.5

本日ファームウェアのアップデートをしました。
Ver.02となります。

Ver.02での更新内容は「絞り特性の最適化」と「瞳AFの精度向上」とのことです。
私は瞳AFは使用していませんので、絞りについてのみ感想を述べます。
カメラ本体はa7R2です。


（1）Ver.02では絞り優先(A)またはマニュアル露出(M)の時、絞り値によってその挙動が異なります。

【f2.8〜22】
ピント位置による絞りの変動がなくなりました。
近接であっても設定した絞りをキープします。
この範囲では、「普通のレンズ」として使えます。

【f2.0〜2.5】
ピント位置によって絞りが変動します。
65cmより近い場合は、近くになるにつれて絞りが自動的に閉じて、
最短ではf2.8と同じになります(Ver.01ではf3.5くらい)
そしてVer.01同様、自動で絞られた状態でもカメラ側の表示もExifも変化しません。
つまり物理的な絞りの状態とカメラ側の表示やExifは一致しません。

65cmより遠い場合は、絞りが自動で閉じることはなく、
設定した通りの絞りで撮影できるようです。


（2）画像の説明
ほぼ最短で撮影しています。
Ver.01で画像?を撮影した後、ファームアップをして?〜?を撮影しましたが、
室内の明るさ等は厳密に同じではないと思われます。

【画像?】Ver.01／f2.0
絞りの状態はf3.5くらいです。

【画像?】Ver.02／f2.0
絞りの状態はf2.8くらいです。
背景の玉ボケを見ると、ファームアップ前(画像?)と比べて、
絞りが開いているのが分かると思います。

【画像?】Ver.02／f2.2
絞りの状態はf2.8くらいです。

【画像?】Ver.02／f2.5
絞りの状態はf2.8くらいです。

【画像?】Ver.02／f2.8
絞りの状態はf2.8です。

【画像?】Ver.02／f3.5
絞りの状態はf3.5です。

f2.0、f2.2、f2.5どの絞り設定でも、最短ではf2.8まで閉じるようです。
そして前述の通り、f2.8以上では最短でも絞りは変化していません。


（3）感想
何と言うか…中途半端感は否めませんが…
ユーザーの声を受け入れて、絞りの仕様を改善したことは素晴らしいと思います。
しかし、どうせならば自動で絞り込まれる仕様そのものをやめて頂きたかったと言うのが正直な感想です。
ツァイスとしては、開放・近接でのコントラストや解像感の低下は受け入れられないということなのでしょう。
メーカーが新しい仕様にチャレンジすること自体はとても良いことだと思います。
ただし、今までにない仕様を世に出す場合、WEBや説明書で明確に説明してほしいものです。


「解像感が低下しても、シャッター速度や低感度を優先して開放で撮る」
「コントラストの低下は嫌なので、絞って撮る」
「開放の甘い作画を表現として利用する」
など・・・ユーザーの選択にまかせて欲しかったのですが、仕方ないですね・・・

ピント位置65cm以上では自動で絞られることはなくなったので、ポートレートなどではほぼ設定した絞り値で撮れそうですし、
テーブルフォトではf2.8以上に絞るのが普通ですから実用上は問題なく使えるようになったと思います。
Exifが信用出来ないのは悲しいですが…

前回のレビューで指摘した絞りの問題について、メーカーからの回答を得ましたので、その後判明した症状と共に報告します。


【絞りの動き】
絞り優先(A)、またはマニュアル露出(M)で、F2(開放)に設定します。
ピント位置を無限遠にすると、ほぼ絞りが開ききった状態になります。
そこからピント位置を近くするにつれて、少しずつ絞りが閉じて行き、
最短位置では、F3.5と同じくらいになります。
この時、カメラ側の表示はF2のままで、Exif情報もF2となります。

当然ですがマニュアル露出で、シャッター速度と感度も固定している場合は、
ピント位置が近くなるにつれて暗くなります。

さらに、前回のレビューでは開放にならない事を問題視しましたが、
実際は開放だけの問題ではなく、F11以下の全ての絞り値で、ピント位置による絞りの開閉が見られました。
（F11より絞った場合は目視では分かりませんでした）

結論として、このレンズはピント位置によって絞りが変動するレンズでした。


【メーカー回答】
カールツァイス社の回答は『現時点ではそれが仕様です』でした。

この答えにより分かったことは2つです。
1つ目は、上記の症状は私が購入した個体だけでなく、全ての個体に当てはまると言うこと。
2つ目は、今後は改善される可能性があると言うこと。

カールツァイス社もこの状態を認識している為、ファームウェアによる改善が行われる可能性もあるが、
日本法人側では何とも言えないとの事でした。
（つまり、このまま改善されない可能性もある）


【感想】
残念の極みです。
『どの絞り値を選ぶか』は写真表現でかなり重要な部分ですが、自分が決定した絞りとは違う状態をレンズが決定して、
その絞り値が何であるかはExifには記録されません。
そしてカールツァイス社は『それは仕様です』と。
『Carl Zeiss』の汚点とならないよう適切な対応をされることを切に望みます。

本来であれば満足度1点ですが、描写が特に素晴らしい為、2点とします。


【追記】
発売前にレビューをしたプロカメラマン達はこの状態に気付かなかったのでしょうか？
だとしたら非常に残念ですし、もし気が付いていたのにも関わらず商業的な理由で言及を避けたのであれば、さらに残念です。
『近接で絞り開放でもここまで素晴らしいのか！！』と感動して見ていた画は、実際は1段半ほど絞った画像だったという事です。

画像1	画像2	画像3
画像4

昨日入手し、20時頃より撮影しました。
夜撮りなので玉ボケも撮ってみたのですが…
絞りに関して疑問を感じました。
使用カメラはα7R2です。


【画像1〜3】
全て絞り開放F2で撮影していますが、玉ボケが角ばっています。
私は必ずしも円形絞りでなくても良いのですが、開放で角が出る理由が分からずレンズを覗いたところ、絞りが開ききっていませんでした。


【画像4】
帰宅後に鏡を撮影しました。
これも絞り開放ですが、1段程度閉じているように見えます。
さらに不思議なのですが、近接ではこの程度閉じますが、無限遠ではもう少し開くのです。
1/3段くらいでしょうか…


【販売店対応】
お店に持ち込んだところ、展示品も同様に絞りが開ききらなかった為、メーカーへ問い合わせしてもらうことになりました。
連絡待ちです。

【今後の展開は？】
1、購入した個体の不具合として交換対象となる？
2、『それは仕様です』となる？
3、レンズとボディの連携に不具合があり、ファームウェアの更新で改善される？


【その他の個体はどうか？】
発売前にweb掲載されている作例の中にも開放で玉ボケが角張って見えるものがあります。
もしも絞り開放の作例が実質絞られていたら悲しいですね。
ボケの形状は写真の本質ではないですが…
購入された方は確認してみることをお勧めします。


【感想】
レンズ自体のレビューは、上記問題が解決後に改めて載せたいと思います。
とても美しく光を捉えるレンズであることは確かですが。
工業製品なので、不具合はある程度仕方ないかもしれませんが、何らかの対応が成されることを希望します。