『Zマウントらしさ全開のレンズ』 ニコン NIKKOR Z 50mm f/1.8 S mi_na_miさんのレビュー・評価

F8まで絞り込んで遠景の描写をチェック	硬質な被写体の解像感が高くボケも上質	トリミングも効く高画素機で使い勝手が良い
風景やスナップ向きの印象が強い	フォクトレンダーNOKTON40mmf/1.2と価格差が殆どない

Nikkor Z50mm f/1.8Sは、タイトルの通りどちらかと言うと解像度重視で、絞り開放からカリカリ・パキパキな描写を得意とするレンズです。

撒き餌レンズであるNikkor Z40mm F/2も、価格の割に相当解像するレンズですが、本レンズはそれの更に上を行く解像感重視っぷりだと思います。

それ故に、ポートレート等で敢えて柔らかく優しい表現をする為には、ブラックミストフィルター等を用意したり、ピクチャーコントロールで明瞭感を調整する必要があるほどです。

逆に言えば、ここまで解像感重視の設計の割に前後ボケは滑らかな方だと思います。

風景などをZ9で絞って撮れば、画面の隅だけをトリミングして切り出しても使えるレベルで解像します。

オートフォーカスに関しては、同期のSラインF1.8シリーズの35mmや85mmがダブルモーターで高速駆動なのに対し、本レンズは少しのんびりした挙動を示します。
動画ではAF速度をカメラ側で調整出来ますし、問題になる程ではないと思います。

褒めてばかりなので、2つだけ本レンズの難点を挙げておきます。

1.価格面

やや割高、コストパフォーマンスは良くないと感じます。
撒き餌ではないSラインを冠しているとは言え、新品実売50,000円台で買えて良いのではないでしょうか。
フォクトレンダーNOKTON 40mm F/1.2（Zマウント）と価格差が殆どありません。
NOKTONも割高だと思うのに、それと本レンズが近い価格なのはどうかと思います。

2.歪曲収差

カメラ側の歪曲収差補正に頼った光学設計だと思います。
Z9では収差補正が強く効いているのか、そこまで酷い歪曲は感じませんが、Z5では格子状の背景が真っ直ぐに写らないシーンがあり、使い物になりませんでした。
水平を合わせると縦線が曲がり、縦線を垂直に合わせると水平が取れず、と言った現象が起こるので困ったものです。
ポートレート等で、建築物を背景にしない方が良いでしょう。
24mmや35mmであれば妥協する部分ではありますが、50mmで気になる歪曲が発生するのは残念でした。

※どこかのレビューでOtusに匹敵、と書いてありましたが、光学性能では比較できる次元にありません。


結論、本レンズは上記の難点2つを気にしない方にはお勧めです。